「…………はっ?」
それから数日後、静雄が銃で撃たれたから、替えの服を持ってきてくれと、新羅から電話があるまで静雄と私が接触することはなかった。
トムさんの一言はそれくらいの破壊力を持っていたのだ。
しかたなく、夜の町を歩く私は底知れない不安に襲われた。
いつもと何ら変わらない町なのに、なぜか怖くて仕方ない。
まるであの日々と同じ……
まさか、見つかるわけないさ。
どうにか自分を励まして新羅のマンションにたどり着いたとき、後ろから一番聞きたくない声で一番聞きたくない言葉が聞こえてきた。
それは突然で、
破壊力は凄まじく、
恐怖は最高潮だった。
「みーつけた。」
あの時と変わらない少年の声…紡がれたその言葉は、呪いのように私の中で反復された。
「……」
恐怖で声が出ない私。
足が笑って歩けない、走れない。
冷や汗がダラダラと流れる。
「みーつけた。見つけたよ。ねぇ?僕ちゃんと見つけたよ。」
可愛らしい少年の声は、斜め後ろの暗い路地から聞こえてくる。
今走れば…明るいエントランスに入れる。
頬の肉を咬み、痛みでどうにか恐怖を和らげた私は、エントランスに駆け込んだ。
絶望がまた始まった。