「あっ、トムさん。」
「んっと………なんか邪魔したか?忘れ物渡に来ただけなんだけどな。」
「いえ、別にそんなんじゃないんで。上がっていきます?」
トムさん尊敬してるんだな…と遠目で見ながら、私は食べ続けている。
四杯目のご飯を食べながら。
「トムさんも食べていきます?」
「いいのか…○○ちゃんだっけ」
「はい。」
名前覚えてもらえたんだ…。ご飯をよそって割り箸を引き出しから出しながら頭の片隅で考えた…なんで覚えられたんだろう?
ついでに自分の5杯目のご飯をもう一方の手で持ちながら二人の待つ静雄の部屋に向かった。
「お前何杯食べれば気がするんだよ?」
「これで終わりかな」
「2杯目くらいいんじゃないか?」
「いや、トムさん…5杯目なんですよ。」
「はぁ?(静雄の隣に普通に住めるだけあるってことか?)」
何か少し驚いてるトムさんが、胃下垂か?って聞いてきたから、わかりませんと答えといた。
「料理上手が隣にいると特だな」
「誉めても何も出ませんよ?」
私とトムさんが適当に話してる間静雄は、黙々と食べている(さっきごちそうさまって言ったのにまた食べてる…)。静か過ぎて、いつキレ出すか不安で少しビクビクする私に、トムさんは目で安心しろと伝えてきた。
この人、すごく静雄の扱い上手いんだった…(尊敬。)
つまりは、いつもより安全なのか。
ほっとした私は、6杯目のご飯を食べたくなったが、なんだか雰囲気的にダメそうだからやめておいた。
「こう見てると、新婚みたいだよな…二人」
「「はい?」」
空のお茶碗とにらめっこしていた私と、おかずをむさぼっていた静雄は、同時にハテナマークを浮かべた。
「いや、なんだ…悪い忘れてくれ。」
その後、邪魔したな。あと美味かった。
と言い残してトムさんは帰っていった。
(むしろ、逃げた感じがする。)
微妙な空気の中私と静雄は、動けずにいた。