「速水君、ココ間違ってる。」
「えっ、どこですか?」
ここだよ。と、なまえさんが指摘してくれたのは連立方程式のyの答えでした。
「y=5じゃなくて、y=-5だよ。速水君はおちょこちょいなんだから、」
そんなんじゃ、テストもミスっちゃうぞ。
と可愛らしく笑うなまえさんは、三国先輩と同じ3年生で、僕の彼女。頭も運動神経も顔もいい素敵な彼女に比べてしまうと、僕はみっともない彼氏です。
告白してくれたのはなまえさんだし、なんでもなまえさんがリードしてくれる。それに甘えている僕はダメダメな彼氏です。
ほら、今だって勉強見てもらってる。
ダメダメだっていいじゃない。
「なまえさんとはどうなんだよ?速水、」
「倉間君っ、ちょっといきなりなんですか、」
あわあわとしている僕を面白そうに見る倉間君に、なんだか嫌な予感がしてなりません。
なまえさんと別れて部室に普通に来ただけなのに、来て早々絡まれるなんて予想外すぎですよ。
「何話してんだ?」
「どうしたんですか?」
「面白そうだな。」
あぁ、そうこうしている間に興味津々無邪気が怖い浜野君と天馬君に、こういう時一番絡みに来て欲しくない南沢さんがぞろぞろ来てしまいました!あぁぁぁぁ、なんか色々怖いです!!
「ふぅーん。なまえの話か。」
ほら、南沢さんすっごく楽しそうに会話に入ってきた。しかも、ニヤニヤしてる。
「お知り合いなんですか?」
「同じグラスの腐れ縁だ。」
「南沢さん、なまえさんってどんな人?」
「あっ、俺も気になる!」
うわわ、勝手に話し出してるし。南沢さんに群がらないでくださいよ無邪気組!
「あいつは、顔に似合わずかなり過激だぞ。」
「過激?」
「例えば、気に入っていた物を壊したり、傷つけたり、友達を苛めたりすると、相手が泣くまでボコり続ける。」
「怖い人なんですか?」
「なまえさんは、怖い人じゃありません!」
あんまりにも勝手になまえさんを評価されたものだから、思わず叫ぶように会話に入ると、南沢先輩のニヤッとした顔が見えました。
「うっ…あ、あっ!」
からかわれた。
と分かったとき、顔が真っ赤になって、恥ずかしくていたたまれなくなった。
「てめぇ、私の速水君に何しやがった。」
あまりの恥ずかしさに顔を伏せていた僕は、頭をなでられる感触と、聞きなれない低い声に顔をあげた。
「なまえさん…」
そこにいたのは、なまえさんで間違えないはずなんですが、なんだかいつもとちが…なんか、怖いオーラが違いますよ。
「南君。次喋ってみろ、そのすかした顔を鼻血まみれにしてやる。」
血の気が引くような台詞を笑顔で言い切る彼女に、口を閉じ無言で頷きまくる南沢さんという異様な光景に僕ら外野はただただ見守ることしかできませんでした。
ギャップがあったって良いじゃない。
「…速水君、ひいたよね…」
はぁ、気を付けてたのに!!と顔を伏せて項垂れるなまえさん。
先程の状況は、三国先輩のお陰で解除され、僕となまえさんは、部室近くの花壇に腰かけている。
「引いてませんよ。」
「もう、速水君は優しすぎ。いいんだよ、本音いって…」
正直、凄く戸惑ってる。だってこんなに弱々しいなまえさん見たことないんですもん。
こんなとき、かっこよくなまえさんに声をかけられれば一番いいんだろうけど、ダメダメな僕にはそんなの無理だ。
でも、
ダメダメでも思ってることくらいは言える。
「なまえさん、
僕は、走るのが早い以外ダメダメです。でも、そんな僕を選んでくれたなまえさんが大好きです。だから、どんななまえさんでも、ひいたりしません。」
「速水君…あぁ、もうこの子は…いい子なんだから。」
ぎゅーと抱きついてくるなまえさんにうわぁぁどうしましょう!!と少しパニックになりましたが、ちゃんとギュッと抱き締め返すと、いつものなまえさんに戻っていた。
(速水君、速水君がサッカーしてるとき凄くかっこいいの知ってる?)
(えっ?ちょっと、なまえさんいきなり言われるとビックリします!!)
(ごめん、ごめん)
…あとがき……
陽菜様大変長らくお待たせいたしました!すいません…
速水君初書きなので、今ちょっとドキドキしてます。
一応全体的に甘ベースで書いたつもりなんですが、ちょいちょいギャグっぽくなっちゃって申し訳ない。速水君のおどおどさを出したくて頑張ったら、方向右に向いちゃいました´`ι
そんなもんで、何か直す点があったらいってくださいね!!
では、企画参加ありがとうございます。また機会がありましたら、是非参加してください。