「まーた、泣いてる。」



学校帰りに何となくあいつが心配になったから、直行で彼の家によって見れば、予感的中だったらしく、メイドさんが疲れきった顔で部屋に引きこもってると教えてくれた。


言われるまま足を進め広い広い彼の部屋に一歩踏み入って彼を探してみれば、
はじっこの方でしくしく泣いているのを見つけた。どうせ、大好きなサッカーで何かあったんだろう。
やったく…世話が焼けるやつだな。

中学生っていってもまだまだ子供なんだな。
高校生の私から見たら、拓人は、拓ちゃんが妥当に思えるような幼さをまだまだもってる。
そんな拓ちゃんは、とんでもない重荷をいま背負っちゃってらしくたまに落ち込んでる。そのくせ後輩や仲間の前では強がっちゃうもんだから家とかだと反動でかめそめそ泣いてるようです。泣き虫なくせにさ…バカみたい。


「拓人くん、今日も何かあったのかい?」


鞄をそこらにほっぽり、拓ちゃんの横にドッコラショとおばさんみたいな声を出しながら座るも、何もつっこまれないからなんか恥ずかしかいじゃない。


「ちょっと、
拓人が私のこと無視すんなら帰るけど。」
「…嫌だ。帰らないで、なまえ」


冗談で言った言葉に敏感に反応した拓ちゃんは、さっきより顔を歪めて私に横から抱きついてきた。しかも、かなりの勢いでだぞ。バカじゃないのコイツ!!

当たり前だが、支えきれなかった私は頭を床に強かに打ち付けた。あぁくそ、痛いぞ。痛いぞバカ!

しこたま打ち付けた後頭部がズキズキと痛むのをぐぅっと我慢して、いまだめそめそ泣き続ける可愛らしい拓ちゃんに意地悪をしてやろうと口を開いた。



「なぁに、今日の拓人さん大胆じゃない…押し倒してくるなんてお姉さんビックリしたけど嬉しいわ。」


見事、ゆでダコみたいに顔を赤くした彼は、しどろもどろに言い訳をする。
可愛いなぁ…だから、いじりたくなっちゃうのに、この子わかってないな。


「ちっちが、そんなつもりじゃなくて、」


泣いていたことを忘れ、顔真っ赤にして弁解する拓ちゃんに、私はほっとした。(やっと泣き止んだか泣き虫拓ちゃん)

もう一意地悪してやるかと、腕を伸ばし拓人を私の胸に抱き寄せながら床に寝転がった。
状況がわからず混乱して固まる拓ちゃんの頭をよしよしと撫でて、ぎゅーっとぎゅーっと抱き締める。そしたら、やっと状況がわかったのか顔を赤くしながらも拓ちゃんが抱き返してくれた。


「まったく、拓人は泣き虫なんだから。」
「からかっただろ。」
「もち。」
「っ…」
「まぁまぁそんな拗ねなさんな。
にしても拓人はさ、何でもかんでも真剣に取り組みすぎなのよ。私から言わせたら、バカみたい。
たまにはさ、思いっきり甘えなさいよ。私はもち、霧野君とか三国君、皆ちゃんとあんたのこと受け止めてくれる。
一人いじいじ泣くの、いい加減やめなさいよ。そろそろ呆れちゃうわよ?」


拓人の表情は、さっきから私の胸元に埋めてるから、見えないけど、さっきよりちょっと緩んだ気がする。

「拓人、大好き。だから、あんま心配かけさせないでよ」
「あぁ。俺も…好き。」


泣き腫らした顔で私を見る拓人に、頑張れのキスをあげた。





泣き虫さんに捧げる恋。





「そうだ、次の試合にチア部の友達つれて応援にいったげる。総勢20人の美女応援団が君の見方だよ!」
「…丁重にお断りする」
「なにっ、拓人、巨乳美人もつくんだぞ。」
「そういうことじゃ…」
「もう、じゃあ美脚も引き連れ…」
「なまえ、からかうなよ!!」
「へいへい。普通に応援にいくわよ。『拓人に霧野君、マジ女の子ぉっ』って、叫んでいいなら。」
「なまえっ!!!」
「あはは、」


やっぱ拓人は、泣いてない顔がいい。


(にしても、からかいがいがあるな…。)




……後書き…

泣き虫拓ちゃん可愛いっ!!
と思いながら書いてみました。いかがでしょうか?

泣き虫拓×悪戯っ子で書いてみました。きっと拓ちゃんはからかわれながら大人になっていくことでしょう。

ヒロインちゃんは、心の中で拓ちゃんと呼んでましたが、最後は拓人と呼ばせました。
少しずつ成長する神童君を認めてる。と言うのを少し意識したのですが、全く出てな…

まぁ、そんな感じですが楽しく書かせていただきました。企画参加、ありがとうございます。では、また何かの機会があったら是非参加してください。


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