「嫌い」と言われるまで、徹底して仙蔵はやめるつもりはなかった。

「やめて」
「イヤ」
「許して」
「はなして」
「お願い」

 そのへんの言葉ならひととおり聞いたが、そのどれもを仙蔵は爪の先ほども聞き入れなかった。

 か弱い肢体を組み敷いて、彼女を守る衣服を剥き、バタバタと暴れる足の上に跨がり、振り回される腕を片手でつかまえた。ナオミは青くなったり赤くなったりし、大粒の涙を零しながらしきりに「やめて」と懇願した。

 だが、仙蔵は初めから「嫌い」という彼にとっての絶対的拒絶を言われるまではやめるつもりはなかったから、そのまま事を進めに進めた。着物をすべて脱がされても、肌のいたるところを撫でたり舐めたり噛んだりしても、仙蔵が彼女の足を割ってその中に侵入しても、ナオミはとうとう「立花先輩なんて嫌い」という最強の武器を使うことはなかった。いつまで経っても「嫌」だの「やめて」だのと言った無意味な、仙蔵にしてみれば耳に心地よい誘い文句程度の、ともすれば喘ぎ声の一種を口にしてばかりだった。だから結局、ナオミはしっかり最後まで仙蔵に貪られ、蹂躙し尽くされるに終わった。

 そうしてすべてが終わった後、ヨロヨロと起き上がったナオミは仙蔵の頬を思いっきり打ち据えた。ボロボロと泣きながら、さらにもう一発重いビンタを小綺麗な顔に打ち込んだ。

 しかし、そこまできても、ナオミは仙蔵を「嫌い」とは言わなかった。泣きながら叫ぶのは「立花先輩のバカ」「最低」「ひどい」といった意味合いの言葉で、ついぞ彼女は仙蔵を「嫌い」と言うことはなかった。

 だから仙蔵は、泣きじゃくる女を前にしてもまったく反省しない。嫌われていないのだからまだ大丈夫。そんなことを思いながら、

(もう一回くらいしたいな)

 などという、平手追加ものの欲想に耽っているのだ。




―――――――――――

▽ドS仙様。実際ナオミちゃんは本気で嫌ってません。




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