※ぬるいR-18



 木虎は性行為の真っ最中でもあまり声を出さない。戦闘時でもなかなかお目にかかれないほど呼吸を乱し、目尻に涙を浮かべ、頬を真っ赤に染めても、かたくなに感じた声を押し込もうとする。たとえどんなに修がその奥底へ侵入しようとも、本能のまま揺すぶろうとも、彼女は唇を引き結び、口元を押さえる。最中は修も余裕などこれっぽっちもないので、木虎のそんな様子を気にはしても、指摘するほど手は回らない。感じていないわけではないと思う。繋がっている時に修をキュウキュウと締め付ける中の熱さも、快楽に浮かされて潤むその瞳も、「気持ちいい」と語っている。自分と同じだと思う。

 声を出せとわざわざ指摘するつもりはないが、木虎は嬌声をこらえるばかり、唇を噛んだり、爪で強く握ったりするので、少しばかり心配だった。木虎は美しい少女だ。それと同時に、ボーダーの顔である嵐山隊の一員で、テレビにもよく出ている。近界民との闘いで負った傷ならまだしも、情事でついた傷となれば、目の当たりにするのはなかなか心苦しい。

 どうにか軽減できないかと頭を捻った結果、修は発見した。木虎に覆い被さって一緒に昇りつめている時、彼女が唇を噛む前に、キスをしてやればいいのだ。漏れる声も飲み込むように口付けていれば、木虎は唇に歯を立てない。恥ずかしい声も聞かれないですむ。一石二鳥だと思った。木虎のほうも依存はないのか、そういうキスには首に手を回して答えた。

 けれど、事が終わると、木虎はすぐに普段の木虎 藍に戻る。その白い背中に「大丈夫か?」と問いかけても「なにが」と睨まれて終わる。平素の立場的なものか、強い女のプレッシャーか、そうすると修は微妙な面持ちで「いや、なにも……」と言うしかない。

 それでも、木虎は一度として拒否したことはなかった。ベッドに腰かけてそっと顔を近付ければ、いつも素直に目を閉じた。なので、嫌がられてはいないのだろうと、修は鈍いながらに判断を付けていた。そうすると、朴念仁じみたところのある彼にも、それなりの欲が出てくる。

 ある日のそういう時、修はささやかに画策した。木虎の中で、搾り取られるような快感を味わっている時だった。木虎は普段と同じく口を掌で覆い、必死で声を殺していた。修はかまわずに、いつもより強引に、腰を打ち付ける。木虎の体が跳ねる回数がいつもより多い。彼女の中がビクビクと痙攣し、今まさに最高潮を迎えるという、その時。修は木虎の両腕をつかみ、シーツに縫い付けた。達する瞬間の弾けるような快楽にまみれた顔に、絶望にも似た羞恥と困惑が混じる。その口が大きく開くのを見た瞬間、修は今までで一番の絶頂を感じた。




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ツイッターで話していた深夜(早朝)テンションで書いた。
初めてのワートリ文がエロとかそんな…。




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