||| plus alpha


母が『キッチン』の映画DVDを持ってきてくれて、母娘並んで見ました。吉本ばななはお母さんがもともと好きで、私も読まされたらツボだったというものです。小説での好みはいまだに母が一番合う気がします。
1989年作で、私は「あれを映像にできる日は永久にこねーわww」と高をくくっていたんですけど、

すごいよかったー!

開始1分からこれはなんか違うって思わされた。吉本ばななの世界観というか、あの小さなことがキラッキラしてるように錯覚するかんじというか、表現できる人が存在するんだ…って感動しました。
雰囲気のために登場人物の大半が意図的にすごい棒読みなんですけど、なるほど確かにそっちのが合ってる、って思いました。
主人公のキャラとか、エリコさんのこととか、わりと重要部分の改変が多かったですが、そんなこと気にならない、新しいかたちの『キッチン』だったと思います。吉本嬢の生きること死ぬこと、それが当たり前であること、でも人生にどうやっても関係すること、みたいなのをさりげなくぶち込んでくるかんじのはなかったですが、あれを全部ハッピーエンドにしたらこうなるんだな、ってかんじでした。
小説と違う部分をこと細かく言える自分がなんかちょっとだけ誇らしくて、好きになれそうでした。夢で見たのは君の家のキッチンの緑色の床。
「これ、こういう感性を持ってない人には、全然おもしろくない映画やろうね」「そうやね」「あたしはこれをおもしろいと思えて幸せやわ」「(笑)」というのが観賞中の母との会話。傲慢だっていいのです。

とまあ、昨夜の茶会でいろいろ感受できたのでそういうお話。

しかし村上春樹の不人気さたるや爆笑ものでしたww
彼はだれの意見にも「うんうん、そーだそーだ」って頷いてしまえますね。良い意見も悪い意見も。
私は彼のことはわりと全体ひっくるめて好きなほうです。たぶん、自分がまわりくどい表現や長ったらしい前置きや現実と幻覚の曖昧さとかを好きで、やるからだと思います。何回か読まなきゃ理解できないのとか、ムカつくけど好きなんですよね。いつの間にかわかってる気になる感覚?まったく変な人ですね(笑)
ただ、ノルウェーの森のラストですべてをボカンにしたことは生涯認められないと思います。「あれがいいんだよ」と言われてもわけがわからないよ。あれはさすがに私にはわかれないよ。でも図書館の絵本と回転木馬のデッドヒートは好き。
パタンと本を閉じた後、「ん?」と首をひねってまた最初から読み直さなきゃならないあのかんじ、嫌いじゃないです。マゾっぽいど。
だから村上春樹は「嫌いじゃない」「わりと好き」くらいがしっくり来るかな。

でも一番は東野圭吾。
彼の作品に出会ってなかったら、今の私の一端はなかったと思うし、たぶんこうやってここにこんなこと書いてなかったと思う。
だから、中学生の頃、なにかに取り憑かれたように本屋に積んであった『幻夜』のハードカバーを手にとって離さなかったことは運命だったのかもしれないです。3000円の小遣いであれを買うのはかなりハイリスクでしたが、ほとんど躊躇わずレジに持っていきました。GJ、中坊の私。
本当は、基本的にはザクッと切ってハッキリと終わる、さっぱりした文体が好きです。余計なものない方がいい。なので、それも含め東野氏が一番かなーって思います。8割方すりこみでしょうが。
私本人は東野圭吾と吉本ばななで培ったようなもんだからマジでスッゲー中途半端!(笑)
でも好きだからいいのです^ω^ウフ


October 07
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