前に進むために。  



「はー、良い天気!絶好の修行日和じゃん!」

ついさっき病院から退院して今日は大人しくしていようかとも思ったけど…。

「ナルトにもサクラにも大人しくしてろって言われたけど……
一日でもいいから早く強くなりたいんだよ、ばぁか。」

って言うかナルトの奴"また、明日"とか言っておきながら来てないし。
いや、ノリで言っただけで実際来るとはあんま思ってないけどさ。


「何かあったのかな。」






*

「何の用だ。」

「そう不機嫌な顔をするな。…姫のことだ。」

「…姫?」

「ちょっと気になって色々調べてみたんだがな。」

この間シズネには姫に話してから本人の意思で話すかどうかを決めてもらう、
なんて言ったがもし姫の身に何かあってからでは遅い。

……全てではないが話せるところだけをかいつまんで話すことを独断でさっき決めたところだ。


「あの子はただの忍じゃない。」

「…どういうことだ?」

「姫は――…。」





*

「水遁、水竜巻!」


ゴアアァ…


「…っからの!4つに分裂……きゃっ!?
あー…また失敗か。」

水竜巻までは完璧に出来る。
その後の分裂は良くても3つまでしか出来ない。


「やっぱりカルーの力が必要不可欠よね。」

カリ…

「口寄せの術!」

ボフン!


『また呼んだのか。何度も言っているだろう。
俺はお前を手伝う気などない。』

「お願い、私の話を聞いて。…私はどうしようもないバカなの。
敵の感知能力は買われてもそれを上手く指示できない…。
だからかルーの力を貸して欲しいの!」

カルーは前にも言ったがイルカだ。そしてイルカは頭が良い。
カルーは自分の意志や思考を主が認めた人間にのみ脳波へ刺激し伝達する能力がある。

『…お前は俺に先頭のたびに出てきては敵の居場所を味方に教えろというのか。
一々口寄せをしていたらキリだないとは考えないのか。』

「…それなんだけどね、カルー。
私の中にある"封印"って奴が解ければそうでもないらしいのよ!」

『!』

イラーが教えてくれたのは九尾事件だけじゃない。
……私は力を封印されているだけとか何とか言われて最初は信じられなかったけど
最後まで聞いて、私はイラーの話を信じることにした。

どうしてイラーがそのことを知っていたのかは教えてくれなかったが。


『くだらない空想話だろ。』

「聞くだけ聞いてよ!」







*

「……そんなっ。」

「信じられんだろうが事実だ。これが事実なら姫を野放しには出来なくなった。」

「……。」

「里の安全のためにも今日から姫を見張れ。
お前なら任務でもよく一緒になるし、適任だと思ってな。」

――…姫っ。






*


『…やっとその真実にたどり着いたのか。
ま、バカで天涯孤独の身の割にはずいぶんと早いとは思うがな。』

「え?…もしかしてかルーはこのこと知ってたの!?」

『当たり前だろ。何世代前から受け継がれてると思ってるんだ。』


…ごめんね、カルー。これからはちょっとだけ君への接し方を改めるよ。


『ま、お前のその人柄の良さがあけりゃたどり着けなかった真実だ。
…少しだけ認めてやるよ。』

「本当!?」

口寄せの契約自体、親が無理やりしたものだからカルーは一回も私の事を認めてくれなった。

でも、今初めて私のこと認めてくれた…!?


『調子に乗るな。…で、封印に関してだがお前…
姫が真実を知ったときに俺が第一段階を解けるようになっている。』

は、初めて名前を…!!

「…封印の、第一段階?」

それよりも何よりも段階とかあるんだ。

『…本当はまだまだ知らないことのが多いから封印の解除なんてしちゃいけねぇんだが特別だ。
その事実を知ってる奴も今は俺だけだしな。
全て話してやるよ。…封印の事も……お前の両親の事も。』


そうしてカルーは私に全て話してくれた。
それはイラーから聞いた話よりもずっとずっと驚く真実ばかりで……。


そして話し終わったカルーは私に言った。



『…この封印の解除にはリスクが伴うし、確実に成功できる保障は出来ない。
……それでもやるか?』

「…今の話を全部聞いても私の決意は変わらない。
強くなりたい、もっと……里の皆を守れるくらい。
だからカルー、お願い。」


『…分かった。――…解っ。』



瞬間、目の前が真っ白になり私はそのまま意識を手放した。



なぜかそのとき私の頭の中にナルトとシカマルが思い浮かんで……。







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