嵐呼ぶ迷子。
「姫の気持ちは嬉しいけど…応えることはできねぇ。」
6年の片想いに散ってから2日後。
ようやく足の怪我も完治して(とは言っても無茶なことをすれば傷口が開くらしいけど…)
泣きたいだけ泣いて退院できた私はなぜか火影様に呼び出された。
まぁ呼び出された理由はなんとなく察しがつくけれど…。
「…はぁ。」
今火影室の扉の前にいる。
用件が分かっているだけに入りづらい。
…しかしいつまでもこうしてるわけにはいかない。
コンコン
「…入れ。」
「失礼します。…って、アレ?ナルトとシカマルはいないんですね。」
「…言わなくとも私の用件は分かっていたわけだな。
2人からはすでに聞いた。それに…いないほうがお前も話しやすいだろう。」
あぁ、なるほど。つまり後は私に火影様から再度口止めってことろかしら…?
まぁ正直いたらいたで気まずいからこの配慮はありがたい。
「実はな……。」
*
「失礼しました。」
パタン…
はぁ…火影様の長い話も終わったし……久々にあそこにいくか。
サク…
「久しぶり。中々これなくてごめんね。この前の任務で怪我して入院してたの。
…でもね、やっと退院できた。」
ここは墓場、そして私の両親の眠っている場所。
私の両親は私を産んですぐ、九尾事件に巻き込まれた。
幸い命は助かったもののずっと意識だけが戻らなかった…。
そして意識が戻らないまま3年のときが過ぎ……
死ぬ直前に母さんが意識を取り戻して私に一言
「また、明日。」
そう言って死んでしまった。
父さんも母さんが死んで後を応用に息を引き取った。
当時3歳の私が母さんのその言葉を覚えてた理由は定かではないけど…。
「また、明日。か…。」
ここに来るといつもその言葉と共に私9歳まで育ててくれたおばあちゃんを思い出す。
身寄りのなかった私をわが子同然のように優しく厳しく……可愛がって育ててくれた。
なのに病気で死んでしまった。
以来私は天涯孤独のみとなった。頼れる人もものも……何もない。
「…って、何暗くなってるんだろ。よしっ、じゃあそろそろ帰るね。
父さん、母さん、おばあちゃん……また、明日。」
形見の言葉といってもいいこの言葉を明日また来るわけでもないのに必ず言って帰る。
きっとこの言葉が両親と私をつなぐ唯一のものだからだろう…。
「さてと。スーパーによってから帰るか。」
何か考え事して動いてないと今は余計なことばかり考えちゃうし…。
ナルトとシカマルの衝撃事実もそうだけど……
今は6年の片想いに散ったことのが辛い。
引きずるものではないと分かっているのに……正直引きずるなといわれても無理だ。
まぁサクラに無理いって面会謝絶にしてもらって十分泣いたんだ。
もう、大丈夫。
*
ガヤガヤ…
「今日はやけに混んでるな。何かやってんのか?」
人が多くて中々前に進めない…っ。スーパーまであとちょっとなのに…!
「くそっ「うぁああああー、ままぁー。」
…迷子か?
そう思って横目で見るとそこには4歳くらいの男の子が。
「うわあぁああー。」
あーもーうるさいなー!何でこんな混んでるのに母親と手繋いで歩かないのよ!
って言うかなんで周りも丸無視なの!?
……って、アレ?気付いてないって言うより、少年の自体いないものだと思ってる?
これってまさか……幻覚?
……まさかねー。こんなところで私に幻覚見せて何させたいのよ。
夕暮れ時のおばちゃんはセールで忙しいものね。
…ったく、仕方ないなぁ。
「ねぇ、ママとはぐれたの?」
「…うっっく、…ふぇ?」
「お、泣き止んだ!良い子だね。
お姉ちゃんが一緒にママ探してあげるからお名前教えてくれるかな?」
男の子は黒の髪に割と綺麗な格好。
そして、人を惹き付けるほどの赤い目。
「……ライラ。」
「ライラか…。よし、じゃあお姉ちゃんと手繋いでおこうか!」
そういって手を差し出すが一向にライラは握り返してくれない。
「…どうした?手繋ぐの嫌?」
「ぼく、ままのいるところ、しってる。」
……はい?
「そうなの?じゃあ私余計なことしちゃったね。
なら早く戻らないと…「でも、ぼくひとりはいや。いっしょにきて。」
…一体どうしたんだ?
ママに会いたいけど一人で行きたくないって……まさかっ
「これはついて行ったほうが良さそうね。
…分かったわ、行きましょう。」
これが 全ての始まりだった。
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