初めての



柔らかな三編みを撫で、抑えられない少女の雫をひとつ、ひとつ拭いとった












笑ってバトルを繰り広げる彼女は
勝利 の二文字を誰よりも好む。


幸せそうに笑う彼女が、何よりも好きだった。

とある日、後から帰ってきたサクは自分の目の前で呟いた。








「負けちゃった」







しょうがないといったように
申し訳ないように眉を寄せ俺に笑いかける。




滞りを見せる少しの感情を笑みで濁し、「でも、大丈夫」と言いたいように口を動かす。




……そんなのが嘘だって
俺にも分かる。







彼女の腕を弱く掴んだ。




袖から見え隠れする、少女が耐えられなかった想いに、身体が割れる様な痛みを覚えた。



赤く滲む爪の痕。


細く 深く連なる罫線に
彼女はぐっと息を堪えた。






「私ならどうにでもなるよ」と





精一杯笑ってみせる。







無力な少女に、いつからやわな強さを与えたのか。







俺が 出来ることは。

愛すること。

信じること。



きつく、抱いてやること。









「抱える必要など、何処にもありません。」










背中にまわした手が、彼女の脆さに怯える。

小さな肩を抱き寄せ、震える身体から直に伝わる。悔しさ。




止めどなく流れ落ちる涙を掬いとり、
子供のように泣き場所を探す手を握りしめた。
声を震わせ、溢れる想いを出しきるように泣く少女を強く、抱きしめた。





逃げたって良い。



まだ、君は強くなれる。












………サク

………願いを 懸けよう。




覚悟は、孤独(ひとり)とは違う




愚かで良い。夢中で求めよう。





勝利を。







君が、いつでも いつまでも

笑っていられるように。




初めての


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初めてバトルに負けたサクちゃんを。
秋久様のテルさんとサクちゃんを借りました。
読んでくださりありがとうございました!



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