初ミッション




組織に入って2日目。
ジンに仕事が入った。

「麗華、お前も来るか?」
突然ジンが言った。
「え…!?行っていいの?」
「兄貴、まだ麗華には早いですぜ。」
「見学だけだ。実際、取引をするのは俺達だ。」

そう言うとジンは、席を立ってどこからか銃を持って来た。

「念のためだ。持ってろ。」
「こんな物騒な物、持ってらんないよι!」
「念のためだと言ったろ。使う事はないさ。」




車で15分ほど行った所で、どこかの倉庫の裏に来た。

もう今は使われてないのだろう、倉庫はあちこちが汚れ、落書きされたものもあった。

「麗華は車で待ってろ。」
ジンの言葉に私は、コクリと頷いた。

ジンとウォッカは車を降り、すたすたと歩いていった。
取引は車からも見える所で行われていた。
離れているため、会話は聞こえないが相手の顔が強ばっている。

と急に相手の声が聞こえてきた。
「ははは!残念だったな!貴様らは終りだ!」

私は相手の声が言い終わらないうちに、反射的に取引場の反対側を向いた。

見ると、倉庫の屋上で銃を構えた人がいた。

……ジンが危ない!

そう思った時には、車の窓を開け、私はジンから受け取った銃を構えていた。

…ズドォンッ!

遠くで小さな悲鳴が聞こえた。

自分でも驚いた。
反射的に銃を構え、発砲しただけじゃなく、相手が死なない程度の急所を狙った事…。

「どうやら、終わるのは貴様のようだな。」
ズガァン!!!






「スゲェじゃねぇか、麗華!」
取引の帰り、車の中でウォッカがはしゃいだ。
「どこで撃ち方習ったんだよ?」
「いやぁ、小さい頃モデルガンで遊んでたぐらいなんだけど…」
すると、ウォッカは一層興奮して
「マジ!?スゲェなぁ!」
あはは…
私、組織の人間に向いてるのかな…?




部屋に戻ってソファーに座ると、つづいてジンが私の正面に座った。
タバコをふかしながら私を見た。

「明日、お前を銃の練習所に連れて行く。」
「じ、銃の練習所!?」
「お前には素質がある。しっかり訓練すれば俺より上手くなるかもしれねぇ。」

ジンより上手く…

「…それより、よく怖がらずに撃てたな。」
「それは…」
ジンを助ける事で必死だったから…
ジンが死ぬのは、何よりも怖い。

「私の唯一の保護者が死んだら困るでしょ///」
なんて言って誤魔化したけど、もしかしてお見通しとか…。
ジンは、ふっと笑ってコートと帽子を脱いだ。

脱いだコートと帽子を抱えて歩いていたジンが、足を止めた。

「助けてくれた事、礼を言うぜ。…ありがとな。」

……///

嬉しい。
素直に嬉しい。

胸が痛い。




ジンとこんな風に仕事するのも、いいような気がする。

つづく



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