リングと笑顔
「ついに明日だよ!!」
「楽しみっすね兄貴!!」
「何がそんなに嬉しいんだか…。」
夜9時。
麗華とウォッカは、明日の事でおおはしゃぎしている。
明日、何があるのかというと
金環日食とかいうのがあるらしい。
「ウォッカ、目覚ましはセットした?」
「もちろん!!5個もセットしたから大丈夫だぜ。」
麗華が騒ぐのはわかるが…
大の大人のウォッカがはしゃいでいるのはどうかと思う。
「ジンも明日は早く起きて、一緒に金環日食見ようね!!」
何で俺まで……
しかし、惚れた女に言われちゃ断れない。
「……あぁ。」
「やったぁ♪よーし、今日は明日のために、みんな早く寝ましょう!!」
「おぉー!!」
「………。」
翌朝。
ジリリリリリリ!!!!!
うるせえぇぇえええ!!!!!!!
ウォッカがかけた5個の目覚まし時計が一斉に鳴ったので
俺は起きざるをえなかった。
急いで時計を全て止める。
が、次に聞こえたのは
ウォッカのイビキだった。
起きてねぇし…
起こそうか迷ったが、そのまま寝かせる事にした。
麗華もまだ寝ている。
ウォッカと同じく、寝かせておこうかとも思ったが
あれだけ楽しみにしていたのが見れなかったら悲しむだろうと思い
麗華を起こした。
「ウォッカは起こさなくていいの?」
「あぁ、寝かせとけ。」
そうこうしているうちに、日食が始まった。
「うわぁ、綺麗!!」
「綺麗なリングだな…」
金の指輪のように、それは本当に美しかった。
だが、視線を横へ向けると
そこには、日食よりも綺麗で可愛い笑顔があった。
「…見てよかったな、日食。」
こんなに笑顔な麗華が見れたんだからな。
次の瞬間
勝ち誇ったように
「でしょ?」
と麗華が言ってきた。
「ウォッカを起こさなかったのは、正解だったな。」
「だね。」
金環日食が終わり、しばらくして起きてきたウォッカが
かなり機嫌を損ねたのは言うまでもないだろう。
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