裏切られても…


「あっ!!しまった…卵きらしてる。」

エプロン姿のウォッカが、ガッカリした様子で言った。

「オムライスの予定だったのに…。」

「オムライス!?」

オムライスは、私の好物の一つだ。

しかも、ウォッカのオムライスは格別に上手い。

「私、卵買ってくる!!」

「車で行くか?」

ジンが気遣って言ってくれた。

だが、最近どこに行くにもポルシェで行くので
運動不足だった私は、車を断った。

「たまには歩かないと♪じゃ、行ってきまぁす!!」




と、言ったものの
スーパー遠いな…

いつもは車で行くから、近く感じたけど…

こんなに遠かったっけ?

多少疲労を感じながら歩いていると、後ろから声をかけられた。

「麗華、久しぶり。」

振り返り見ると、そこには忌ま忌ましいニット帽。

「あ、赤井秀一!!」

超久しぶり………じゃなくて!!
なんでこんなところに!?

「やっぱり君と俺は赤い糸で結ばれてるんだな。」

そのわりには会うの久しぶりすぎるな。
この変態ニット帽野郎。

「あ、あの…私、買い物しなきゃいけないんで…。」

「買い物?料理できるのかぁ。ますます君は理想の人だよ。」

意味不明…

私が無視して歩きだすと、彼も私の後をついてきた。

「ついて来ないでください。」

「いいじゃないか。俺も買い物に付き合うよ。」






結局、スーパーまでついて来られた…

買い物が終わり、帰ろうとしたが
ニット帽野郎が離れようとしない。

このままついて来られたら、ジンの家やアジトがバレちゃう…

「せっかくだから、どこか寄らないか?何か欲しい物買ってあげるよ。」

「い、いや…遠慮します。」

「遠慮しないでいいよ。FBIの給料良いから、金はあるんだ。」

金の問題じゃないんですが…

この人、私が組織の人間って事忘れてるの?

「いや、本当に遠慮します。…ジンが待ってるんで。」

「………。」

その瞬間、彼は急に大人しくなった。

さすがに諦めたかな?

だが次の瞬間、私の腕は彼に引っ張られ
私の体は、彼に覆われた。

……………え…ちょ、ちょっと!!

「あんな男のために君が犯罪者になる必要はない。今からでも遅くない。俺のところにおいで。」

「な、何言ってるんですか!!私は…あなたなんかのところに行きたくない!!」

一生懸命体の自由を取り戻そうとするが、全く彼の腕は動かない。

「私は……ジンと一緒なら犯罪者になってもいい!!」

「……!!」

彼の体がビクッと反応し、やがて私ね体を解放した。

「……裏切られるかもしれないんだよ?現に俺は、組織に裏切られた女性を一人知っている。…君をその二の舞にはしたくない。」

裏切られる…

確かに、組織に裏切られた構成員達はいっぱいいる。
また、組織を裏切ろうとした人達もいる。

そして、殺された。

私も、ジンに…裏切られる?

それでも私は…

その時、私は赤井秀一ではない誰かから腕を捕まれた。

「俺は、麗華を裏切ったりしない。」

「…ジン!!」

「帰りが遅いと思ったら、何浮気してやがんだ。」

赤井秀一が馬鹿にしたような目でジンを見た。

「浮気?まるで自分の女みたいな言い方だな。」

するとジンは私を抱き寄せ、軽く頬にキスをした。

「そうだ。俺の女だ。」

「え?…………ええぇぇぇ!!??」

は、恥ずかしい…///
こうも面と向かって「俺の女」とか言われると
顔が火傷したように熱くなる。

「お、お前…いつの間に!!」

「ついこの間。」

一人ショックを受けている赤井秀一。

そんな赤井秀一をよそに、ジンが私をポルシェへ誘った。

「馬鹿は放っておけ。帰ってオムライス食べるぞ。」

「うわぁい♪オムライス♪」

そう。
ジンは裏切ったりしない。

たとえ裏切られても、私はジンを愛してる。

私は、いそいそとポルシェに乗り
オムライスの待つ家へ帰ったのだった。






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