2度目のホワイトデー

組織に入ってから2度目の3月14日が来た。

「んのおぉぉぉ!!」

今日もどこかで叫び声が聞こえる。

どうしよう…
何あげたらいいかな?

今までホワイトデーにお返しした事なんてないし…
普通はクッキーやキャンディーだろうけど、ジンは甘い物は好まない。

かといって、貧乏ゆえ高価な物は買えない…。

「はぁ〜…。」

男の人って何が欲しいんだろう?

やっぱり、男の人に聞いた方がいいよね。

私は立ち上がると、ウォッカの所へ行った。

「ねぇ、ウォッカ。ウォッカならプレゼント何貰ったら嬉しい?」

エプロンをつけて、食器を洗っているウォッカに私は話しかけた。

ウォッカは洗い物を中断し、手を水でゆすぎタオルで拭いた。

「もしかして、ホワイトデーか?」

「うん…。ウォッカなら何が欲しいかなって。」

するとウォッカは腕を組み、真剣に考えだした。

「ん〜。俺なら、エプロンかな。」

は、はぁ…???
エプロンι?

「ほらこのエプロン、油とかで汚れてるだろ?そろそろ買い変えないとと思ってたんだよ。」

「そ、そうなんだ…ι」

あんた本当どこの主婦だよι

とりあえず、ウォッカの意見は参考にならないので
私は部屋を出た。





「他に誰かいたかなぁι?」

商店街を歩きながら、ジンにあげるプレゼント選びと他に知人の男の人を頭の中で探していた。

すると、後ろから聞き覚えのある声がした。

「麗華〜!!」

振り向くと、蘭が私に向かって走っていた。
……コナン君も一緒に。

「蘭にコナン君!!お買い物?」

「うん。麗華は?」

「わ、私は……ホワイトデーのお返しを///」

それを聞くと、蘭は目を輝かせて私を見た。

「まさか例のイケメンに逆チョコ貰ったの!?」

「ん…まぁ///」





商店街で偶然麗華さんと出会った。

ジン達と一緒かと思ったが、どうやら麗華さん一人のようだった。

「まさか例のイケメンに逆チョコ貰ったの!?」

「ん…まぁ///」

おぃおぃ、マジかよι

つーか、組織の人間暇なのか?

「あ、そうだ。コナン君ならプレゼント何が欲しい?」

すると、急に麗華さんが、俺に聞いてきて俺は戸惑った。

「え、プレゼントってホワイトデーの?」

「うん。男の人って何が欲しいのかわかんなくて…。」

ホワイトデーか…。

そういや事件に夢中で、蘭から貰ったチョコのお返ししてねぇな。

しかも蘭のやつ、「これ新一の分。渡しといて。」なんて言うから
お返し2つ返さなきゃなんねぇじゃねぇか。

って、今はそんな事どうでもいい///

ジンが欲しがるプレゼント…。

アイツ、ポルシェ大事にしてるからな…
車の洗浄クリームとかか?

それとも、煙草?

いや、新しいコートか…?

………って、何で俺がジンのプレゼントを必死に考えてんだ!!

「ぼ、僕なら…」

「何?」

「いや……何でもない///」

「そっかぁ。ま、コナン君まだ子供だしね。じゃ、私行くから。またね。」

「またね〜!!…行こうか、コナン君。」

そう言うと蘭は、俺の手を取り歩き始めた。

俺が欲しいのは……

………蘭だけ///






「ん〜。マジで困ったよι」

プレゼントが思いあたらず、頭をかかえていると
ふと、また声がした。

「お困りかな?」

「あ、赤井秀一!!」

ヤバいよι
もう、こんな時に…

「大丈夫。捕まえたりしないさ。それに困っている人は、放っておけないしね。」

……仕方ない。
彼も一応男だし、ジンと年も近そうだし…。

「男の人って何貰ったら嬉しいですか?」

「ん?俺にかい?」

……殺す。

「あはは。冗談だよ。……もしかして、ジンにかい?」

「え、えぇ…。」

赤井が一瞬だけ悲しい目をしたように見えたのは気のせいか?

赤井は私に背を向けて言った。


「…君がそばにいてあげるだけでいいんじゃないかな。」


「え……?」

赤井は振り返り、少し笑って見せた。

「悪いね。仕事があるんで、これで失礼するよ。」

そう言うと赤井は静かに人混みの中へ消えて行った。









あの後私は、アパートに帰ってジンに言った。

「ごめん…。プレゼント思い浮かばなくて…。変わりにマッサージでも何でもするよ☆」

するとジンは、持っていたワインの入ったグラスをテーブルに置き
私の腕を引っ張った。

当然、私の体はバランスを崩し
ジンに少し倒れ込む形になった。

「なんもしなくていいから…ここにいろ。」

「……うん///」

暖かいジンの温もりを感じたら、私がプレゼントをもらってる気分だった。



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