2度目のバレンタイン





「あ゛あぁぁぁ!!」

勉強の馬鹿野郎ぉ!!

まだ寒い風がやまない2月の寒空に一人の少女の声が響いた。

もう明日はバレンタインだっていうのに、明日はテストなのだ。

全く、勉強というものは学生達の自由と青春を奪ってばかり!!

私だって、今年はもっとジンに喜んでもらえるチョコを作ろうと張り切っていたのに…!!

今日はジンとウォッカが、家で何かボスに提出する書類をやるとかで
私は部屋を追い出され、今ベル姐の部屋で猛勉強。

「ぅ゛〜。わかんない…。」

「こんな簡単なのに…」

腰に手をあてて呆れるベル姐。

ベル姐も勉強を教えてくれるのだが…

「ベル姐のやり方…古い公式だって先生が言ってたような…ι」

「……………気のせいよ(黒笑」

……何だ、今の間はι


あ〜ぁ。
今ごろジンも書類に追われているのかな…。


今俺は、ボスに提出する書類の山と睨みあって…………………………


……いるのではなく
キッチンで、茶色い物体と格闘していた。


「…で、刻んだらボウルに……って、あぁ!!鍋に入れてどうするんすか兄貴!!」

隣でわめくウォッカ。

知るか!!
大体、鍋に入れねぇと溶けねぇだろ!?

「違いやすってιお湯をはった鍋にチョコを入れたボウルをお湯が入らないように浸して混ぜると……ほら、溶けてきやしたでしょ?」

熱されたボウルの中で、みるみるチョコが溶けていく。

なるほど…。
頭良いな。


それからチョコと格闘する事2時間。

やっとまともなチョコが出来た。

「出来た…。」

「あ、兄貴…不器用すぎるι」


結局勉強が終わらず、私はベル姐の家にお泊まりになった。


そして翌日。

……チョコ作れなかったι

お店で買おうかと思ったが、本命の人に買ったチョコをあげるのは気が引けた。

テスト終わってから作ろうι

「ただいまぁ〜…。」

「おぅ、お帰り麗華。」

「学校遅れるぞ。」

時計を見ると、後20分しかなかった。

うぉぉぅ!?
テストの日に遅刻は嫌だぁ!!

私は、急いで部屋に行き
着替えた。

「い、行ってきまぁす!!」

「待て。」

急ぐ私をジンが呼び止めた。

「ほらよ。」

渡されたのは小さな箱。

「ん?何これ?」

「学校で見ろ///…テスト頑張れよ///」

「う、うん///」

私は、その箱を鞄に入れて全速力で学校まで走った。


「もうダメだ…。」

お昼。

ジンに頑張れって応援してもらったのに、やっぱりテストはボロボロだった。

「あはは。まぁ大丈夫だよ。」

「そういえば蘭、新一君にチョコあげたの?」

園子は、蘭に向かってニヤニヤしてる。

バレンタイン…

テストもダメ。
チョコもあげられなかった。

何か最悪…。

弁当を食べようと鞄に手を入れると、朝ジンに貰った箱が手に当たった。

あ。
何だったんだろう。

そっと箱を開けてみると、中から甘い香りのする茶色いものが見えた。

しかし、そこには小さなカードも添えられてた。

¨今年は俺から送ってやる。¨

ジン……///

「あーっ!!麗華、逆チョコ!?」

「この間の彼氏?」

蘭と園子が私のチョコを覗いて言った。

「か、彼氏じゃないってば///」

顔が赤くなっているのに気づきながら、私はチョコを口にした。

形は悪いけど、ジンの頑張りが伝わってくる。

「…おいしぃ///」

ありがとうジン///


ホワイトデー、お返しするからね♪



つづく



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