謹賀新年






「ジン〜!!明けましておめでとう!!」

私は、いち早く起きて
隣で寝てるジンを揺すり起こす。

すると、ジンは眠そうに頭をかきながら上半身を起こした。

「あ゛ぁ?何だ朝から…。」

「だって1月1日だよ?元旦だよ??新年だよ!?」

「だから何だ。」

冷たく言うジンにため息をついて私は言った。

「初詣行こうよ!!」






朝から麗華に叩き起こされたかと思ったら…

「初詣行こうよ!!」

瞳を輝かせながら言う麗華。

……初詣?

「別に今日じゃなくてもいいだろ。」

「だって今日は仕事ないし、ゆっくり出来るじゃん。」

確かに……。

「……支度しろ。」

「やったぁ♪」

麗華が喜んでいると、いつの間にかベルモットがいた。

「じゃ、ここは私の出番ね。」

ったく、どこから湧いて出るんだか…

ベルモットは麗華を連れ、部屋を出た。

着替えようと、振り向くと
ベッドの上に紙袋が置いてあった。

中を取り出して見る。

男性用の着物



……あのクソババァ





ベル姐は、用事があるとかで
結局、ジンとウォッカと3人で行く事になった。

私は案の定、ベル姉に着物を着せられ
化粧までさせられた。

なんか、この様子じゃ
成人式もベル姉が仕立ててくれそう…ι

「ジン、用意出来た…よ///」

ジンを呼びに部屋に戻ると、そこには着物を着たジンがいた。

………か、かっこよすぎる///

きちんと着るのが嫌なのか、ちょっと肌けさせて着てる。

そのせいで、ジンの白い肌が見えている。

は……鼻血出る……。
(↑異常)






ベルモットが置いて行った着物を着終わったところで、麗華が戻ってきた。

……想像以上だ

大人っぽい黒の生地に淡い桜の模様の着物
豪華な金の帯。

黒い髪はアップされ、簪(かんざし)が輝いている。

髪がまとめられているため、白く色っぽい首筋が顔を出している。

さらに決め手は、化粧。

………襲うぞ

今にも鼻血が出そうなのを堪え、俺達は神社へ向かった。


いつもならポルシェで移動するのだが、俺も(なぜか)ウォッカも着物を着てるため
歩いて神社まで行くことにした。

そして目的の神社。

神社は、人で溢れていた。

「さっさとやる事やって帰るぞ。」

「うん。」

人が多いのもあるが、何が嫌って
周りの野獣共が麗華をいやらしい目で見ているのが嫌だった。




神社は人で溢れていた。

通り過ぎる女性達がみんなジンを見ている。

「さっさとやる事やって帰るぞ。」

「うん。」

このままここにいたら、ジンが女性達に声をかけられて
どっかに行ってしまいそうだ。

私達は、とりあえず朝ごはんを食べるのに屋台へ向かった。

「すみません、お好み焼き3つください。」

久しぶりにお好み焼きが食べたくなった私は、お好み焼き屋のおじさんに言った。

「はいよ、お好み焼き3つ!!」

威勢良く袋を渡すおじさん。
袋を受け取って私達は近くの石段で食べた。

「美味しい♪」

「……うまい。」

お好み焼きって、結構当たりハズレがあるけど
ここのお好み焼きは美味しかった。

「このお好み焼き、小麦粉の代わりに山芋を使ってるんすね。なるほど。山芋だと食費も安く…」

ウォッカ…ι
あんた、どこの激安主婦だよ。



お好み焼きを食べ終え、さっそくお賽銭に行った。

すると、麗華とウォッカが俺に手を出してきた。

「何だその手は。」

「「お賽銭のお金、ちょうだい(くだせぇ)」」

「……自分達でだせ。何で俺が出さなきゃなんねぇんだ。」

「だってジン、金持ちじゃん。」

「食費は全部俺が出してるんすから、こういう時くらい兄貴が出してくだせぇ。」

「………。」

俺は、二人に1円ずつ渡した。

「うわ、1円!?ケチだね。神様に怒られるよ!?」

「う…うるせぇ!!1円でいいだろ!!」

そう言うと、麗華とウォッカは俺を睨んできた。

俺は仕方なく、奮発して10円を渡した。

10円でも不満そうな二人だったが、10円を賽銭箱に入れた。
俺も二人に続いて10円を入れる。

多くの神社の鐘は大抵2つ。
この神社の鐘も2つだった。
待って鐘を鳴らせばいいのだが、人が順番待ちしてるため
1つをウォッカが。
もう一つを俺と麗華が一緒に鳴らした。
そして、神社の神様に手を合わせ一礼する。

本当ならこんな事しない質だが、今日は仕方がない。

俺も手を合わせ、お願い事をした。



ジンが、しぶしぶ出した10円を賽銭箱に入れ
手を合わせて神様にお願い事をした。

「さぁ、最後はおみくじだよ!!」

おみくじを買いに私達は、おみくじ売り場に行った。

自慢ではないが、私は今まで一度も大吉を引いた事がないのだ!!

今年こそは大吉を引いてやる!!

最初にウォッカが引く。
そしてジン、私と引いた。

みんな引き終わったところで、一斉に開ける事にした。

「せ〜のっ!!」

ゆっくりと目を開ける。

そこには……









んなあぁぁぁぁ!!

私が肩を落としていると、ウォッカが急に奇声を発した。

「だ……大凶…。」

泣きそうな声で言うウォッカ。

下には下がいるんだね。

「ジンは?」

すると、ジンはおみくじを私に見せた。

…………………大吉。

「何で!?賽銭箱に1円を入れようとしていたケチ男に…何で大吉が!?」

「そんなに欲しいならお前にやる。」

「……いらない。」

いつか自分で大吉を引いてやる!!

それにしても…

おみくじの【仕事運】に書いてある文。

¨全体で見れば吉ですが、仕事運だけで見ると大凶です。今年の仕事は慎重にこなしていきましょう。¨

……大凶って

ミスをしてジンの足を引っ張るのは嫌だな。





たかがおみくじ。
……されどおみくじ。

¨【恋愛運】絶好調。今年は恋の女神様が微笑んでくれる年。¨

………///

¨【仕事運】仕事運は一度だけ大きなミスがあるかも。よく周りを見て仕事をやりましょう。¨

………。


この俺がミスなんかするかよ。


帰り道。
「そういえば、ジンは何をお願いしたの?」

「……そういうお前は何お願いしたんだ?」

「教えなぁい♪」

俺は笑い、さっきの神社での願い事を思い出した。




今年も




麗華と一緒にいられるように







帰り道。

ジンは結局、何をお願いしたのか教えてくれなかった。

え?

私のお願い?

そりゃ、もちろん…



今年も


ジンと一緒にいられますように



おみくじに多少の不安を感じつつ、私達は軽い足取りで帰った。


つづく



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