黒いサンタからのプレゼント






「ジングルベール♪ジングルベール♪鈴が鳴る〜♪」

「何だ急に。」

急にって…
今日は12月24日だよ!?

「だから何だ。」

「兄貴、12月24日といったらあれじゃないですか!!」

ウォッカも目を輝かせて(つってもグラサンで見えないが)ジンに言う。

「あぁ。クリスマスイヴか。」





「「サンタさんが来る日だよ(っすよ)!!」」



「はぁι?」

呆れているジンに私は、さらに詰め寄る。

「今日は一年に一回、サンタさんが来る日だよ!!」

私が言うと、ジンは眉間に人差し指を当てた。

「待て待て。お前、高校生にもなってサンタさん信じてんのか?」

「何言ってるんすか兄貴。サンタさんはいますよ!!」

「お前もか!!」

ウォッカが拳を固く握りしめ、必死に説得する。

しかし、サンタさんを一向に信じないジン。

私は、小さい頃からサンタさんを信じてる。
信じる者は救われるんだから。

しかし次の瞬間、不安がよぎった。




「あ!!今年は組織に入ったからサンタさん来ないかも!!」

人を殺したり、不法な取引したりしてるから
サンタさんが来ないのではと心配になったのだ。

しかし、ウォッカが私を慰めるように言った。

「大丈夫だ。俺、組織に入ってからもサンタさん来るからさ。」

「そうなの!?」

私は驚いた。
組織の人間にもサンタさんは来てくれるのかと。

サンタさん心が広い!!

「いるわけねぇだろ。」

「いるもん!!じゃ、もし来なかったらジンがプレゼントちょうだい!!」

「何でだ!!」






今日の仕事を終えた私達は、ポルシェを止めて休憩してた。

私は近くの自販機でブラックコーヒーとポカリを買ってジンのもとへ戻った。

「はい。」

ジンにブラックを渡す。

「あぁ。サンキュ。」

「はい。」

ジンに袋を渡す。

「あぁ。…って何だこれ。」

「……クリスマスプレゼント///」

私は、今日のためにジンにプレゼントを買っていたのだ。

「開けて…いいか?」

私は、コクリと頷いた。

すると、ジンは包みを開け始めた。

「手袋…。」

そう。
私は手袋をジンにプレゼントしたのだ。

普通は、もっといいプレゼントをあげるんだろうけど…

ジンがいつも使っている手袋は、血で汚れてて
長いこと使っているのか、糸が解れてボロボロだった。

「気に入った?」

「あぁ///」




麗華からプレゼントを貰えるとは思ってなかった俺は、素直に嬉しかった。

しかも、俺の手袋がボロボロだと知ったうえで
手袋をくれた麗華の小さな心遣いが何より嬉しかった。

そっと、コートのポケットに手を当てる。

それに比べて…
麗華は、このプレゼントを喜んでくれるか…?

実は、この日のために麗華にクリスマスプレゼントを買っておいてのだ。

しかし、勇気が出ず渡せないでいた。

「じゃ、寒いから帰ろう。」

ポルシェに乗る麗華。
俺も運転席へ座り、車を発進させた。




夜。
私は、今年こそサンタさんを見るべく布団の上で座っていた。

「早く寝ろ。明日も仕事あるんだぞ?」

「ぅ〜。だって…」

私が言うと、ジンは苦笑して私の隣に座った。

そして優しく頭を撫でる。

「寝てないとサンタさん来ねぇぞ?」

「……。」

それは嫌だ。

すると、ジンは私をベッドに寝かせてくれた。

「…おやすみ、ジン。」

「あぁ。」

ジンがそばにいてくれたおかげで、私はすぐに眠りについた。






麗華が寝てから、リビングに行くと
ウォッカの姿がなかった。

あいつも早く寝たんだな。

それから数時間経って、夜中の1時。

プレゼントを手に、俺は部屋に戻った。

麗華の頭元にプレゼントを置こうとした俺の手は、次の瞬間止まった。

何故なら、既にプレゼントが置かれているのだ。

ガタッ…

小さな音が部屋の隅から聞こえ、驚いて見ると
白い雪のような光が一部だけ輝き、消えていった。

少しして俺は微笑し、麗華の頭を撫でた。

「麗華…本当にいたんだな。サンタクロース。」

そして、サンタクロースのプレゼントの横に俺のプレゼントを置いた。

俺も寝ようと、布団に入った時
麗華が何か言った。

「メリー…クリスマス。ジン…。」



「メリークリスマス。麗華。」






「んなぁ!!??」

朝。
起きて俺は驚いた。

頭元にプレゼントがあったのだ。

「わぁ。ジンにもサンタさん来たんだ!!」

「兄貴、やったですね!!何が入ってたんですかい?」

恐る恐る箱を開ける。

すると、中から一本のワインが出てきた。

「サンタ・チェチリア05プラネタ!!5000円はしますぜ!!」

「ワインで5000円って高くない!?」

「ん?なんだこれ?」

ワインと一緒にカードが入っていた。

¨The person who believes is saved.¨

『信じる者は救われる』

ふん。
信じるぜ。サンタさんよぉ。

「あれ?まだ何か書いてあるよ?」

見ると、確かに下の方にまだ何か書いてあった。

¨Confess early.¨


「余計なお世話だああぁぁぁぁぁぁ!!!!」




¨Confess early.¨






『早く告白しなさい』







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