出会い




「はぁ…。」
麗華は、下校途中の道で深いため息をついた。
「私の人生…灰色だ。」
そう。今、麗華は灰色の人生を送っている真っ最中。
というのも、今までずっと親友だった友達に彼氏ができたのだ。
「16年間、恋だの愛だの興味なかったけど…いざ友達が彼氏できると、焦るもんだね。」
灰色の地面から目を離し、真っ青な青空に目をやった。
「でも、気になる男だっていないし…。…あ゛ぁ!!!私の人生どうなる!?」

そんなことを叫んでいると、近くで車の音がした。

「?」
ここは普段、あまり車が通らない場所。
珍しいな。こんな所に車が来るなんて。

車が止まっていたのはこの道を少し前に行って右に曲がった所にある廃虚になってるビルの前だった。

黒い車。
ポルシェっていうの?なんか高そうな車があった。
廃虚のビルになんであんな車が?
こりゃ、なんかありますぜ。

怖いもの見たさに私はビルの中に入った。

少し進んだ所で男の声がした。

黒ずくめの男が二人とどこかの社長みたいな人が一人いた。
社長みたいな人の手には札束がぎっしり入ったケース。

何あの札束!?
もしかしてワイロっていうやつ?

「ご苦労だったな。社長さん。あんたの仕事は終わりだ。」
「ま、待て!約束が違う!」
「約束?そんな約束した覚えはねぇな。」
長身長髪の黒ずくめの男が言い、内ポケットから何か取り出した。

拳銃!?
ま、まさか…!

ズドォン!

音と共に社長の体が地面に吸い込まれるように倒れた。

地面に徐々に広がる赤い液体。

逃げなきゃ…

しかし、体が硬直して上手く動けない。
やっとの思いで体を動かすと近くにあったドラム缶に当たってしまった。

…!?

「なんだ今の音!?」
「鼠が覗いてたか…?ウォッカ見てこい。」
私は走るしかなかった。
「待てぇ!」
体格のいい男が追ってくる。
振り向いた私の目に映ったのは長身長髪で整った綺麗な顔……

こんな時に何だけど…あの人…カッコイイ…


「はぁ…はぁ…。に、逃げ切った…。」

なんとか逃げ切って家に帰った。
でも、あんな場面見て…ただじゃ済まないよね。

ウチ、殺される!!!
どうしよう…(x_x;)

「大丈夫、麗華?何かあったの?」

心配したお母さんが聞いてきた。
本当に心配してる顔…。
そんな顔されたら言えるもんも言えない。

「ううん。なんでもないよ。心配しないで。」
「そう?…何かあったら言いなさいよ。」
そう言って部屋から出ていった。

私は自分のベッドに寝転んだ。

「カッコよかったなぁ…。…………って違ぁう!!!ι何言ってんだ私!」
自分の置かれてる立場わかってんのかぁ!?

でも、顔見られただけだし…。
私の身元が分かるわけないよね。

そう思うと、なんだか安心して私は深い眠りについた。


翌日。
何事もなく学校が終わった。
やっぱり。
私の事バレてないよ。よかった…。
あ。でも、昨日の道で待ち伏せしてるかもしれないから、違う道で帰ろう。
私は違う道を通り、家の前にたどり着いた。
…が、家の敷地を踏む寸前で私は布のような物で口を塞がれた。
「!?…んっ!んん!」
出ない言葉を出そうとしてる間に、意識が薄れていくのがわかった。


たす……け…て…



気がつくと、車のシートの上で寝ていた。
すぐにあの黒い車の中だとわかった。

「目が覚めたか?中島麗華。」

長身の黒ずくめの男!
……カッコイイ。

「…何見てやがる。」
「い、いや…。っていうか、私をどうするつもり!?」
「ふん。お前、自分の置かれてる立場わかってんのか?」
いや…あんまり…ι
「あんな場面見られておいて、俺達も黙っちゃいねぇんだよな。」
長身男は不敵な笑みを浮かべて私を見てくる。
「殺す…?」
「ふん。」
不敵な笑みを浮かべたまま、私から顔をそらしてタバコをくわえた。
く、クールだ…。
大人の魅力むんむん。
マッチをつけ、タバコに火をつけた。
そして、またコチラを向いた。
「選択肢は二つだ。」
「二つ?」
地獄か天国か?
「生きるか死ぬか。」
え…?

「あ、兄貴!何言って…」

「黙ってろ、ウォッカ。」

「へ…へい。」

生きるか死ぬか?
そんなの、もちろん…
「生きたい。」

すると、長身男はにぃっと笑った。

「決まりだ。」

言うなり長身男は車を出した。

「え!?ちょっ…逃してくれるんじゃないの!?」

「誰が逃がすなんて言った?俺達の仲間になんだよ。」

え?
えぇぇぇえぇえぇ!!??

ちょっ…いやぁぁあ!!!

中島麗華16歳、悪の犯罪者になるの!?

つづく



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