夏祭り



「ふんふふ〜ん♪」
「麗華、ご機嫌だね。どうしたの?」
今日は朝からテンションの高い私は、学校でもご機嫌だった。

不思議に思った蘭が聞いてきた。

「今日、夏祭り行くんだぁ♪」
「あぁ!米花祭り?私も園子と子供達と行くんだ。」
「そうなの?ばったり会うかもね。」

米花祭りは米花町では、大きな夏祭りだ。
たいていの人は行くだろう。

「一緒に行こうよ麗華#。」
「ぇ、あ、いや…付き添いがいるから。」
「ほほぅ。その付き添いとは、例の彼だな。」
園子が蘭の後ろから現れ、ニヤニヤしながら言ってきた。

ご名答。

今日は、珍しくジンが一緒に夏祭りに行く事を拒まなかったのだ。

いやその分、何かありそうだけどねι








学校が終わり、帰宅すると
待ち構えていたようにベル姐が立っていた。
「遅いわよ!!さ、浴衣に着替えるわよ!!」

はぁ…ι
何か最近、ベル姐が私を着せかえ人形のように扱っている気がするのは、気のせいだろうか…

抵抗する暇もなく、私は部屋へと引っ張られた。




相変わらずベル姐のお化粧、及びオシャレテクは素晴らしいもので、少しの時間で私を綺麗にしてくれる。

本当に感謝しないとね。

黒地の生地に淡い紫色で模様の入った綺麗な浴衣。

髪もアップにして、大人っぽい感じ。

「完璧!!うふふ。襲われないようにね。」

ベル姐はそう言ったけど、私には何の事だかわからなかった。



そのうち、ジンが仕事から帰ってきた。

「おかえりジン♪早く行こ〜。」

「…っ///!!!」
「ね?兄貴。言った通りですぜ。」

はへ?
な、何ι???

「…行くぞ。」
「ジンは浴衣、着替えないの?」
「あ?浴衣なんか着るかよ。」
「え〜。せっかくジンと祭り行くなら、合わせたいじゃん…。」
「………。」

「(さぁ、兄貴どうする?)」
「(麗華のおねだり攻撃に勝てるかしら?)」






「先に車行ってろ。」


『(やっぱり…ι)』



祭りにつくと、ポルシェから出てきた浴衣姿の私達を周りの人が不思議そうに見た。

当たり前だよねι
ポルシェと浴衣なんて合わないもん。

でも、ジンかっこいいなぁ…
何着てもかっこいい///

っていうか、その妙にはだけさせるの止めてよι

目のやりどころに困る!!


車から降りると、焼きそばやたこ焼きといった屋台の匂いがした。
見ると、いろんな屋台が並んでる。


りんご飴。
わたがし。
チョコバナナ。
お面屋。
射的。
などなど…

「ジン、射的あるよ。」
「ふん。面白そうだな。」
一回300円(5発)。
私とジンは300円ずつ払い、弾をもらった。

ふふふ。なめるなよ射的屋。

殺し屋二人を相手にしたのが運の尽きだ。

だが、しょせんオモチャの銃。
威力なんて全くない。
しかも、こういうお祭りの射的屋は商品が取れないように重しをつけてる時がある。

5発とも当たったものの、倒れたのは3つだけ。

くそおぉ!!!
バカにしおってからに!!

パアァン!…パアァン!

隣でリズム良く射たれる音。

なんとジンは5発とも全て商品を落としていた。
しかも、かなり重くて取りずらいやつ…。

さ、流石ジン…

「おいオヤジ。追加だ。」
チャリンとさらに300円を費やすジン。

射的屋のオヤジさん、顔が真っ白。


結局、5回やって全部落としたから…
計25個の商品を勝ち取った。

ウチは、ジンが取ってくれたデカいクマのぬいぐるみを抱いて、射的屋を去った。


やっぱり会ってしまった。
蘭と園子、それにコナン君。
あと、コナン君の友達であろう子達。

ジンと一緒の時はなるべく会いたくないのにな…

特にコナン君。

子供の姿をしてるけど、どこか大人な雰囲気を持ってる。



っていうか、今回はもう一人気になる子が…

この茶髪の女の子。
妙に冷静。

というより、さっきからジンを見て怯えてる?

コナン君がその女の子に耳打ちして少し離れた場所へ移動した。




――「どうだ?」
「…えぇ。確かにジンよ。」
「やっぱりな…。」
確かな確信がついた。
「隣の女の人は?」
「見た事ないわ。新人かしら。」

まだ、息が上がってる灰原。

「とりあえず、蘭達と別行動して様子をみるか。」




あの茶髪の女の子…。
シェリーに似てるような気がする。

写真で見たシェリーの顔が頭に浮かぶ。

でも、明らかに子供。
…似てるだけか。

「んじゃ、デートの邪魔しちゃ悪いから行くね。」
「いや、デートなんかじゃ…///」

「ねぇ、蘭姉ちゃん。僕達、別行動していい?」
突然、コナン君が言った。
「え?危ないよ?」
「平気だよ。何かあったら携帯もあるし、花火までには戻るから。」
「そう?じゃ、気をつけてね。麗華も、じゃぁね。」
「うん。」







「そろそろ花火、始まるね。」

だけど、どうせどこも人で埋めつくされているに違いない。

がっかりしていると、ジンに腕を掴まれた。

「ふぇ?な、何ι?」
そのまま引っ張られて、気がつくと神社に来ていた。

祭りの近くにある、この神社は高い所にできていた。
そのため、見晴らしが凄くいい。
「ここなら花火、見えるだろ。」

ちょうど花火が始まった。
ヒュゥ〜…ドオォン!!
「…綺麗。」
「……あぁ。」

ジンと一緒に見る花火は、一段と綺麗に見えた。

*おまけ*

「……っ///」
「ね?兄貴。言った通りですぜ。」

麗華に祭りに誘われる前。
ウォッカに夏祭りに麗華を誘えと言われていた。

もちろん最初は拒否したが…

『麗華、絶対浴衣着て来ますから。』
なんて言われて動揺していた。

マジで浴衣だ…///

浴衣姿なんてめったに見られるもんじゃねぇ。

俺の心臓が最高潮に達した。





祭りの間も、ずっと麗華から目が離せなかった。
(射的の時は、かっこつけちまったが…ι)


花火が始まると、麗華の瞳がキラキラして輝いていた。

「…綺麗。」

本当、綺麗だ…

「……あぁ。」

似合ってるぜ、浴衣。

*おまけ(コナン君達のその後)

俺と灰原は、ジンと麗華さんの後を追った。

「奴らの事だ。何かするに違いない。」
「それにしては変ね。さっきから店屋をまわっているだけよ。」

確かに。
一体何が目的で…

「何だか、本当にデートしてるみたいね。」
「そう見せてるだけだろ。」

「私達もね。」


「……え。」

少しドキリとした。
真顔で
でも、うっすら笑いながら言う灰原。

「だって子供の体じゃなくて、元の体だったら…カップルみたいじゃない?」

「ば、バーロー///!!!俺は蘭が…」

「私じゃダメ?」


なっ……///

「ふふっ。バカね。真に受けたの?」
「だ、誰が真に受けるかよ!!…って、あぁ!!見失ったじゃねぇか!!」

「あら。あなたが私に気を取られているからじゃない。」

ったく、なんだってんだ。

灰原に少しでもドキドキした自分を恥じた。
*おまけ(灰原の気持ち)ジン達を見失って、工藤君と帰っていた。


バカね。

私は

このまま


あなたと


あなたと一緒なら…


元の体になんか

戻らなくていい



つづく



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