酔ったお前も好き



「うがあぁ!!!ムカつく!!」
「まぁまぁ。落ち着いて麗華。」

放課後。
久しぶりに蘭と園子と寄り道をしてた。

「だいたいなんであの野郎共は、いちいちつっかかって来るんだよ!!」
「ウザいよねぇ。あぁいうの。」

皆さんは経験した事はありませんか?

クラスに、学年に何人かは必ずいる不良やギャル。
そういう奴らに絡まれる事はありませんか?

「それって、麗華が可愛いからつっかかるんじゃない?」
「無い無い!!可愛くなんかないもん!!」
「え〜。そうかなぁ?だって、この前のパーティーの時の麗華、本当に綺麗だったよ。」

真顔で言う蘭にウチは少し照れた。

「あ。そういえばコナン君、元気?」

ウチの心に引っかかる人物。

…あの子、何かあるよ。

「うん。元気だよ。奇遇だね。コナン君も麗華の事、気にしてたんだよ。」
「え?コナン君が?」「あのガキ、麗華に気があるんじゃない?」

園子がニヤニヤしながら見てくる。

「まさか〜。コナン君はまだ小学生だよ?」
「恋に年齢なんて関係ないわよ。そういえば、あのイケメンとはどうなのよ?」

さっきとは違うにやけた顔で見てくる園子。
「え///べ別に…ただの親戚で…///」
「もぅ〜。隠したってわかるんだよ。」
「でも本当、綺麗な男性だったよね。」
「蘭には新一がいるじゃん。」
「そ、そんなんじゃ…」

なんてたわいもない話をしてるうちに、時間はあっという間に過ぎていった。







蘭達と楽しい話をして、少しは気持ちが落ち着いたが…

やはり、あの不良共に言われた事が心の中でモヤモヤしてる。

『ひゅ〜!!ブス!!』
『キモいし〜。』
『彼氏いないっしょ。』

………わかってるよ。
だから今まで好きな人も作ろうとしなかったし、興味もなかった。

…でも、今は……
ジンの事が好き。

だからジンに少しでも振り向いてもらえるように、努力してる。

あんなクソガキに何がわかるんだよ…!!

そう考えると、また腹が立ってきた。

とりあえず落ち着くために何か飲もうと冷蔵庫を開けた。

牛乳の横にジンとウォッカがいつも飲んでる酒が置いてあった。


…………。
少しぐらいならいいかな?

酒に手を伸ばす。

ラベルを見ると、英語で何か書かれていた。見るからに高そうな酒だ。
まぁ、ジンが安物の酒なんか飲む訳ないんだが…

フタを開けて一口飲んだ。

「くはっ…!!ごほっごほっ!!」

慣れないものに酒が気管に入ってしまった。
「くそぉ!!やけくそだぁ!!!」
そう叫んで、私は酒を流し込んだ。





思ったより仕事が延びて、帰るのが遅くなった。

麗華が心配でいつもより運転のスピードが早くなる。

……何だ?この胸騒ぎは。





変な胸騒ぎの予感は的中した。

ソファーでぐったりとしながら、俺の酒を飲んでる麗華。

テーブルには、既に空になったボトルが2本…

「バカ野郎!!何やってんだ!!」
「あぁ〜。まだ飲むのぉ。」
酒を取り上げると甘えた声で言ってきた。

かなり酔ってやがる…
それも当たり前だ。
麗華が飲んだのは、ジンカクテル。
アルコール濃度が高いジンをストレートで飲んだのと同じだ。

しかも、2本以上飲んでる…

「返してぇ〜。ジン〜。」
「返してって俺のだ!!」

酒のせいで凄く色っぽい…。

暴れたのか、服は乱れて目がとろんとしてる。

………襲うぞ。

「ったく、何があったんだよ。」

麗華が何もないのに酒なんて飲む訳ない。

「………私、こんなんだから…彼氏とかできないのかな?」

どこか遠くを見るように切ない目をする麗華。

そんな少し大人っぽい素振りをする麗華を見て、俺の心がドキリと波をうつ。

「学校でね。言われたんだ…。」

立ち上がってまた冷蔵庫をあさる。

だが何もないのか、すぐにドアを閉めた。

そして俺の方に顔だけ向ける。

「バカみたいだよね…。」
振り向いた麗華の顔。
赤く染まった頬に雫が流れてる。

その瞬間、麗華が俺に抱きついた。

「私だって…女だもん。恋ぐらいしたいよ…。」

「麗華…。」

俺の胸で泣きながら呟く麗華。
俺はただ抱きしめるしかできなかった。

「でも、あいつらの言う通り…私を好きになる人なんていない。」
「そんな事ねぇよ。」

「……ねぇジン。」
ふと麗華が顔をあげて見てきた。

「少し…このままでいさせて。」

「…あぁ。」

そしてまた俺の胸に顔をうずめて静かに泣いた。




「落ち着いたか?」
「うん…ありがとう。」まだ酔ってはいるが、心は落ち着いたようだ。

「ねぇ、もう無いの?お酒。」
「まだ飲む気かよっ!!」
「あは☆ウソウソ。」

……まったくι

「はぁ〜ぁ。ずっとこうしてたいなぁ。」

麗華が俺の肩に頭を乗せる。

まだ目はとろんとしてて、いまだに色気を放っている。

いくら酔ってるからって、俺も男なんだぞ…

「ジンと一緒にいると落ち着く。」

………誘ってんのか?
ただでさえ惚れてる女にこんな色気出されてドキドキしてんのに…

んな事言われたら襲わずにはいられねぇだろうが。

だが、ここは大人な対応。

そっと麗華の肩を抱き寄せた。

「俺の肩でよかったらいつでも貸すぜ。」

「ありがとう♪」

そのままいつしか二人は眠りについてしまった。



*おまけ*

「兄貴よかったっすねぇ。」
「うふふ。私の知らない間にそういう関係に♪」
「バカ!!俺は何もしてねぇ!!」
「あら。でも一緒に仲良く寝てたわよ?」

携帯の画面を見せるベルモット。
画面いっぱいに撮された俺と麗華の寝顔ツーショット。

「あ゛ぁ!!テメェ、今すぐ消さねぇとぶっ殺すぞ!!」
「嫌よ。私の待ち受けだもの。」

バキュン!!

「あぁ!!何するのよ!!新しく買ったばかりの携帯なのに!!」

「知るか!!」

「俺も見たかったなぁ。酔った麗華。」

酔った麗華…
…クセになりそうだ。
心からそんな事を思った。


つづく



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