APTX4869
朝からジンの様子がおかしいと思ったら、昨晩徹夜で資料に目を通していたらしい。
それで少し頭が痛いのだ。
「はい。これ飲んで。」
私が渡したのは、一粒の薬。
「なんだこれは。」
「ベル姐からもらってきた頭痛薬。」
するとジンは薬を睨み付けて
「いらねぇ。」
と言った。
「なんで?始めのうちに治しとかないと。」
「いや…ベルモットの寄越す薬は危ねぇ。」
「そんな事ないよ。ただの頭痛薬だって。」
私は半ば無理矢理ジンに薬を飲ませた。
「あ゛ぁぁあぁぁあ!!??」
あれから10分くらいしてから、ジンの部屋から悲鳴が聞こえた。
ジンの部屋には、ついさっきウォッカがジンの様子を見に行ったはずなのに…
もしかしてジンに何か…!?
私は急いでジンのいる部屋に走った。
「どうしたの、ウォッカ!?」
「あ、兄貴が…いない…」
ジンがいない!?
どういう事!?
窓が開いて、カーテンがひらひらしてる。
「お、俺、探して来るぜ!」
ウォッカが慌てて外へ飛び出した。
ここは2階。
長身なジンには窓から出るのは簡単かもしれない。
でも…
この部屋…
人の気配がある…
ベットは確かに空。
でも、人の気配がある。
私は部屋中を探し始めた。
1分もかからない間に探してるものが出てきた。
クローゼットの中に…
小さなジンが。
「じ、ジン!?」
えぇ!?
どういう事!?
ジンが小さくなってる。
………可愛いけど。
「お、俺もわかんねぇよ!あの薬を飲んで、少ししたら………っ!?」
「?…どうしたの?」
体は小さいけど、犯罪者は犯罪者。
もの凄い殺気が漂ってる。
「…あの糞ババァ。」
「どうしよう…」
ジンを元に戻す方法がわからない。
私は、ある意味このままでもいいけど…
だって、いつも長身で全身真っ黒なジンが…
今は小さく、熊のアップリケがついたTシャツに黒いズボンをはいているんだもん。
たまらなく可愛い///
(あ。服は私の小さい頃の服ね。
「ベル姐に相だ「誰があんなババァに相談するか!!!」
言い終わらないうちにジンが切れた。
とりあえず、この姿じゃ仕事ができない。
こんな小さい子ができる仕事といえば…
「行かねぇぞおぉぉお!!!ぜってぇ行かねぇ!!!」
「だだこねないの!潜入捜査だよ!!!」
ウチとジンは帝丹小学校の前で言い争そっていた。
でも、小さいジンは私に敵う訳がない。
私はジンを抱えて学校に入っていった。
「はぁい。皆、今日は転校生が来ます。」
俺と灰原に続き、転校生が来るなんて…
この学校は転校生を全員このクラスに入れてねぇか?
「転校生だって!どんな子だろう。」
「可愛い女の子がいいですねぇ。」
「でも、このクラス転校生多くねぇか?」
少年探偵団の元太、歩美、光彦が転校生の話で盛り上がっている。
「はい。じゃぁ入っていいわよ。」
クラスがざわめく。
ガラガラッと開いて転校生が入ってきた。
綺麗な銀髪は腰まであり、黒い上下の服。
…ジン!?
いや、まさか…
奴らが組織の薬を飲むわけない。
隣は灰原の席。
だが、灰原はひどい風邪で最近学校には来ていない。
当分は家を出れないだろう。
灰原がいなくて助かったぜ。
今灰原がいたら、形相を変えて怯えていただろう。
「名前は黒澤陣君です。仲良くしてあげてね。」
放課後、帰ろうとする陣を俺は呼び止めた。
「お前のその胸ポケット、何が入ってるんだ?」
こいつの胸ポケット、妙な膨らみがある。
少しして陣が振り向いた。
「何だと思う?」
今日初めて聞いた陣の声。
朝からずっと何も言わなかった。
「…拳銃とか。」
一か八か言ってみた。
だが陣は、ふっと笑い
「小学生がそんな物騒な物持ってるわけねぇだろ。」
そう言って、胸ポケットから何か取り出した。
それは…
「………ゲーム機?」
「あぁ。だがゲーム内容は当たってるぜ。」
カセットを取り出し、ゲームのタイトルを見せた。
¨闇の殺し屋¨
「ふっ。お前、面白いな。名前は?」
「…江戸川コナン。」
すると陣は、また不敵な笑みを見せて帰っていった。
バカだな俺は。
一瞬でも奴がジンじゃねぇかって思うなんて。
なんなんだ…
俺は自分の胸ポケットから愛銃のベレッタを取り出した。
…江戸川コナン。
ふっ。
ただの推理オタクだろ。
ビビる事ぁねぇ。
アパートに戻ると、麗華が嬉しそうな顔をして駆け寄ってきた。
「ジン!ベル姐に聞いたら、それは副作用だから1日もすれば元に戻るらしいよ!」
そうか。…助かった。
「でも、せっかく学校入ったのに…すぐ辞める訳にはいかないよね。ベル姐から薬もらって来ようか。」
「…ガキの姿でも銃の腕は落ちてねぇからな。」
「はい。すいません。殺さないでください。」
その後、俺の体はすぐに戻った。
結局、学校は不登校という事にし、1ヶ月ぐらいした頃にまた転校するという計画にした。
「ねぇ、薬飲んでよ。」
「そんなに俺を小さくしたいか?」
「だって可愛いかったんだもん。」
「……今度はお前が飲んだらどうだ?」
「遠慮します。すいませんでした。睨まないでください。」
つづく
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