休日




今日は祝日で、仕事もない。

組織に入って5日目。
勇気を振り絞って、ジンを外出に誘おうと思いますっ!


「ねぇ、ジン〜♪」
「外出なら嫌だぞ。」
まだ何も言って無いのに、何故ウチの言いたい事がわかるぅ!?
エスパーかいっ!

「い、いいじゃない。外でパァッと羽をのばそうよ!」

「…何企んでる。」

うっ…ι
さすがだ。

実は今日、ジンと一緒にプリクラを撮りに行きたかったのだ。
この間、ジンにロケットペンダントをプレゼントしてもらったのに、ペンダントの中はまだ何も張られてない。

「企んでなんかいないよっ!ただ、ジンと一緒に出掛けたいだけで…」
案外これは嘘じゃない。
ちょっとデート的な気分を味わってみたい。

「…そこまで言うなら、いいぜ。」

ジンの隣に座っていたウォッカがジンを見た。

兄貴…¨ジンと一緒に¨ってところに釣られやしたねι



「…………どういう事だ、これは。」

私達がいるのは…


ゲーセンの前!!!

チャキッ…

冷たく冷酷な音が聞こえた。
ジンの手には愛銃のベレッタ。

「ちょちょちょっι!落ち着いてジン!」
「説明しろ。これはどういう事だ。」

私は、ロケットペンダントに写真を入れたくてジンをゲーセンに連れて来た事を話した。

「………」
事を話し終わると、ジンはベレッタをしまってくれた。

「帰るぞ。」
「えぇっ!?プリクラ取ろうよ!」
「誰が撮るか!考えてもみろ。黒服の男と高校生がゲーセンに入った時点で警察呼ばれるだろうが。」

確かに…ι

でも、やっぱりプリクラ撮りたいよ…

「大丈夫!人の目なんて気にしなぁい!」
そう言って、私は無理矢理ジンをゲーセンに押し込んだ。
近くにいた人達の視線が痛い。
皆ビックリして、疑いの目で見てくる。
店員さんは、私達を見ながら襟元につけている小型マイクでボソボソと何か話してる。

私は、そんな事もお構い無しにジンをプリクラコーナーへと引っ張った。
素早くコインをいれる。

「フレーム、どれがいい?」

「フレーム?」

「写真の枠とか、背景のこと。あっ、これ可愛いよ!」
「んなキラキラしたやつよりこっちの方が…」
こんな会話をプリクラボックスの周りの客が変な目で見ているのに気付かない私達は、なんだかんだ言って案外盛り上がっていた。

『上のカメラを見てね!撮るよぉ!3…』
機械の音声がしゃべった。
「ほらジン、撮るよ」
「お、おぃ…そんなくっつくな。」

カシャッ!

「はい!もう一枚!」
「まだ撮るのか!?」
「当たり前でしょ。次のフレームは…」








「はぁ☆楽しかった♪」
「ったく、楽しくなんかねぇよ!」
「とかいって意外と楽しんでたじゃん。」
プリクラを撮り終わって、ウチ達はゲーセンを出た。
「はい、半分づつね。」
ウチは、半分に切ったプリクラをジンに渡した。
「………」
何も言わずにプリクラを眺めるジン。
すたすたと歩いてポルシェに乗る。
ウチも乗ったところでジンが口を開いた。
「麗華。」
「ん?何?」
「…ちゃんとペンダントに貼っとけよ。」
「うん♪」






楽しかったぜ
なんて言えねぇな…



*おまけ*

おまけ1



私は帰ってからプリクラをペンダントに貼った。
ちょっと照れくさそうにしてるジンが写っている。
「ん〜っ!いいねぇ!楽しかったなぁ…」

ふふっと笑い、私はペンダントを首にぶら下げた。


なんだか、いつもと違うジンを見れたような感じがして凄く嬉しい。


ベッドに寝転んだ私の胸でペンダントが銀色に光った。





おまけ2


「兄貴、どうでしたか?」
帰ってすぐにウォッカが話しかけてきた。
「散々だった。プリクラなんて撮らされて…」
「プリクラぁ!?あ、兄貴…プリクラとったんですかい!?」
(兄貴がプリクラ…ふ、ふははは!!!わ、笑ったらいけねぇ!殺されるι)

「見せてくださいよ。」
「あぁ?誰が見せるか!」
「いいじゃないすか。見るくらい。」
「殺されたいか?」
「いいえ…。」
(…恐ぇ。目がマジだι)
「シャワー浴びてくる。」
俺はシャワー室に向かった。






兄貴がシャワー室に向かった後、俺はプリクラを探した。
「どこに隠したんだ?」
どこを探しても見つからない。
コートのポケットにも無い。
ズボンのポケットにも。
「まさか携帯に貼って…いや、兄貴がそんなしゃれた事するわけない。」
よくプリクラを携帯の画面下に貼る人がいるのを思い出したが、そんな事しないはず。

手当たり次第探しているうちに兄貴がシャワー室から出てきた。
「何を探してるんだ、ウォッカ。」
「い、いえ!別にι」
ちきしょぉー!
どこだプリクラぁ!!!

ウォッカ、まだまだだな。
俺がそんなわかりやすい所に隠すと思うか?
目には目を。
大切な物は大切な物に。

俺は、何年も使い込んできた愛銃のベレッタを取り出し手入れを始めた。

銃を分解し、弾を入れる部分を手にとった。
そこには麗華と撮ったプリクラ…。


それを見ると自然と笑みがこぼれた。


甘くなったもんだな、俺も。

つづく



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