「命さん、完全復活ですね。」
命の笑顔につられてか、苦笑を浮かべていたアークの顔が綻ぶ。命は自慢げに、当たり前だよと胸をはる。
「だからといって無理はするなよ? 命。」
ゆっくり立ち上がり、リヒトは命の頭を撫でる。
すると命はニカッと笑いながら、リヒトに尋ねた。
「そういえば、無事和解出来たの?」
その言葉にリヒトの表情が少し曇る。しかしすぐに呆れたように笑顔を見せた。
「まあ、な。和解出来たかはよくわからないが、互いに理解はし合えたと思う。」
あれから何も起こらないということは、そういうことなのだろうとリヒトは思っているようだ。
彼は賢い。あれほど力の差を見せつけられれば、しばらく大人しくはなるはず。
「僕は何がどうなったかわかんないけど、大規模な親子喧嘩だよ。まったく。」
「そうですね。」
アークは命の意見に賛同し、命と共にクスクスと笑う。それを見たリヒトは困ったようにため息をついた。
「お前らなあ……。少しは俺の気持ちも考えてくれ……。」
リヒトの様子にすみません、と慌ててアークは頭を下げる。命は構わず笑い続ける。
「くす、だって親子喧嘩は親子喧嘩だよ。それに喧嘩するほど仲がいいって言うし、あの子と君って意外と相性いいんじゃない? ねえリヒトパパー?」
命はリヒトをからかう。療養中に溜まったストレスやら何やらを吐き出すように。
「……っ!? 命っ! ふざけるのもいい加減にしろ!!」
まるで子どもをしかるように声をあげるリヒト。しかし逆に命はますます調子に乗る。
「パパこわーい!!」
命は楽しそうに言うと、ぴょこぴょこと走り出した。それをリヒトは追いかける。
「おいこら! 待てー!!」
二人は広い草原をくるくる走り回る。それを眺めるアークは、親子みたいだと笑うのだった。
〜fin〜