「これで終わりだ。」

リヒトの周りに浮かんでいた礫が來宵に向かって一直線に放たれた。彼だけが使える裁きの礫。

「……っ!!」

來宵は腕を交差し、その礫を防御する。しかし無数の礫を防御しきれる訳がなく、体を貫いていった。
ふと來宵は気づく。この攻撃は本気ではないことに。リヒトが自分を殺す気が無いということに。

「かは……。」

來宵はその場に膝をつく。もう力は使い切った。立ち上がる気力も無い。
カツン、カツンとリヒトの足音が近づいてくる。リヒトは手に持っている1本の剣以外をしまい、そして來宵の前に立ち止まった。

「……手を、抜きおって。」

來宵は荒く呼吸をしながら、リヒトを見上げ睨みつける。リヒトは怯むことも無く、静かに彼を見つめていた。

「は……。なんじゃ、その顔は。」

うっすらと來宵は笑みを浮かべる。歪む視界に写ったリヒトの顔は、子を心配する親のようで気に入らなかった。
ボロボロになった服は赤く染まり、綺麗な白髪も真っ赤だ。血がポタポタ落ちては地面に染み込んでいく。

「もう、終わりだ。これ以上俺はお前を傷つけたくはない。」

リヒトは手に持っている剣をしまう。それはもう、彼と戦う意志が無いことを示していた。

「ふざける……なっ。」

それを見た來宵はすかさず立ち上がり、爪でリヒトを斬りつけようとする。しかしリヒトは構わずそのまま來宵を抱きしめた。






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