來宵はギリギリまで剣を引きつけて、真上に飛び上がる。漆黒の翼を広げ、そして漆黒の闇をリヒトに向けて撃つ。タイプを考えれば、相手に効果は無いこの技。そのため禊のときよりも何倍も力を込めて撃った。

しかし、その闇は容易く金色の剣によって切り裂かれる。

「この程度か? 來宵。」

いつの間にか彼の元に戻っていた2本の剣が再び放たれた。來宵は避ける気が無いのか、その場に留まり長く伸びた爪の手を構える。
來宵が向かってきた剣を掴もうとした途端、剣がパン、と音を立てて弾けた。

「……なっ!?」

驚いた來宵に隙ができる。 ハッとして体勢を整えようとした時、目の前にはリヒトの姿があった。
ハッタリか…!!
そう思った時にはもう、遅かった。

「まだまだ甘いな。」

リヒトは地を蹴った勢いのまま手に持っている1本の剣で來宵を斬りつける。右の脇腹から左の肩にかけて剣が振り上げられた。

「ぐ、あ……!!」

真っ赤な血が傷口から吹き出す。傷はかなり深いようだった。漆黒の翼が消え、來宵は地面に落下した。

「……はは、油断した、の。」

致命傷を負ってもなお、來宵は笑う。傷口から滴り落ちる鮮血。
ふらり、と立ち上がると、目の前にリヒトが着地する。相当な出血のため、視界が歪む。それでも來宵はリヒトに技を仕掛けようとする。

「その傷じゃ、まともに戦えないだろう?」

ふらつく來宵をよそに、リヒトの周りに小さな礫が浮かび上がった。






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