「汝をここへ来させるためじゃよ? それ以外無かろう?」
來宵の言葉を聞き、リヒトはふう、とため息をついた。
そして、腰に付けている飾りを手に取る。すると、それは先ほどと同じ剣に変形した。両手に剣を持ち、戦闘体勢に入る。
「そうか。」
リヒトはぽつりと呟き、來宵に向かって走り出す。
キーンと鋭い音が冥界に響き渡る。
命はただ見ていることしかできなかった。
「俺はけじめをつけるために、世界を守るためにここに来た。お前の思い通りに動くつもりは無い。」
來宵はリヒトの剣を両手で受け止めていた。リヒトが手に力を込める。
「ふん、くだらんな。何が世界のためじゃ。結局は汝のせいで世界は乱れた。自分が生み出したものを今度は自分で消そうと言うわけか。」
來宵は笑う。リヒトが自分を消そうとしているのに。
「お前を消すかどうかはお前の考え次第だ。」
「我の考えなどわかっておるだろうに。我は世界を恨み、憎む。ずっと、永遠に!!」
來宵は思い切りリヒトの剣をはじく。リヒトはその弾みで後ろに吹き飛ばされたが、受け身をとる。
しかしリヒトが体勢を立て直す前に來宵は闇に消え、リヒトの背後に現れる。
「……っ!?」
リヒトが防御をする前に來宵は自身の手に闇を纏い、リヒトに切りかかる。
「リヒト!! 危ない!!」
命は叫びながらリヒトに向かって走り出した。