「……。」
來宵はゆっくりと自身の体に目を向ける。
見えたのは、緑の装飾が施された金色の剣。それは確かに來宵の体を貫いていた。
來宵の口から赤い血が滴る。
「俺は、“何のつもりだ”と聞いている……。」
その剣の柄はリヒトが持っている。つうっと血が剣をつたい、リヒトの手を赤く染めた。
「何のつもり、か……。ふふ、はははははははは!!」
突然來宵は笑い出す。体に剣が刺さっているのにもかかわらず。
そして來宵は後ろに下がり、剣を引き抜いた。
「何が可笑しい?」
リヒトの表情は変わらない。
來宵はふら、と少しよろめいたが、その顔は笑ったままだった。貫かれた体からはぽたり、ぽたりと血が地面へと落ちては染み込んでいく。
「ふふふ……。汝があまりにもわかりきった質問をするものだからの。」
來宵の表情は痛みなど感じていないようにも感じられる。
余裕の表情とさえ、とることも出来そうだ。
「教えてやろう。我が何のつもりかを。」
來宵は白く長い髪を揺らし、リヒトを睨みつけた。