***


「ふん、やっと動いたか。さあ、宴を始めようかのう?」

浮遊する魂を手でつかみ、ぱくりと口に運ぶ。
その者は、楽しそうに笑った。


***






赤紫の世界に、白と桃色の二つの影が現れた。

「うわあ、冥界には初めて来たけど、気味が悪い所だね……。」

命は辺りを見渡す。
赤紫の空、風の無い世界。
だが、おかしい。
赤紫の空間に、一つも青白い魂がないのだ。

「魂が、無い。」

リヒトが呟く。予想以上の状態のようだ。
カツン。
リヒトは奥へと足を動かす。まるで、吸い込まれて行くかのようだ。

「リヒト? どこ行くの? ねえってば!!」

命も後をついて行く。
少し怖かった。リヒトがリヒトじゃないみたいで。
いつもと違う雰囲気をただよわせていたから。
ねえ、何が起きるの?
僕はどうしたらいいの?

「……!!」

すると突然、リヒトが立ち止まった。
後ろをついてきていた命には、何があったか把握できなかった。

「リヒト? どうしたの?」

命はリヒトの視線の先を見た。そこには、大量の青白い光を放つ魂があった。
それはまるで、何かを取り囲むように、幾重にも円を描いている。






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