「あ、ああ。もらっておくよ……。」
少し心配だったが、黒詠はチョコを受け取った。
灰音は女の子、きっと大丈夫だろう。
「では、後日味の感想お願いしますね。」
灰音はにっこり笑い、灰歌と共に塔から引き上げていった。
「しろー。また来るねー。」
とことん空気が読めない灰歌は笑顔で手を振っていた。
「……これからどうすりゃいいんだよ。」
はあ、とため息をつき、黒詠は白謳を抱きかかえ、彼の部屋に連れて行った。
「うう……。」
部屋のベッドに寝かすと、白謳の意識が戻ったらしい。
「こ、黒詠……? 私、生きてます?」
苦しそうに呼吸をしている白謳。一体どうすれば、あんなチョコが作れるのだろうか。
それより、どんな味だったんだ?
黒詠はいろいろと考えながらも、白謳に布団をかけてやる。
「生きてる。だからゆっくり休め。あとで俺が何か美味いの作ってやるから。」
そう言って、黒詠は部屋から出て行った。