「あ、ありがとうございます……。」
白謳は少し顔を引きつらせながらも笑顔でチョコを受け取った。
……あなた料理なんて出来たんでしょうか。
「ねえ、食べて食べて!」
目を輝かせながら灰歌は白謳を見る。
「え……と……。じゃ、じゃあ、いただきますね。」
スルスルとリボンをとき、箱を開ける。
甘い香りがする。色もチョコだ。
きっと大丈夫、なはず……。
目の前であんな顔されては、断れない。
白謳はひとかけらのチョコを口に含んだ。
「……む゛っ!?。」
「ねえ、おいしい? ねえねえ。」
灰歌は白謳の服を掴み、味を問う。
しかし、白謳は答えない。
灰音と黒詠も白謳を見つめた。
「お……い……しい…です……よ。ふふ、ふふふ。」
みるみるうちに白謳は青ざめていく。さらに何故か笑いはじめた。
どうやら酷い味らしい。
「そう! よかった! じゃあもう一個どうぞー。」
空気が読めない灰歌は、チョコをひとかけら、白謳に渡す。
「……おい。あれ、やばいんじゃねえか?」
黒詠が灰音に問いかける。
「白謳さん、命の危機ってやつかしらね……。」
灰音が苦笑いしながら呟く。