水面はゆらゆらと揺れ、しばらくして二人が顔を出す。

「ぶはあ……。」

「はあ、はあ。」

二人は顔を見合わせ、はあ、と溜め息をつく。洞窟の入り口からオレンジの光が射している。もう夕方になってしまったようだ。

「最悪よ。服がびしょびしょだわ。」

「それはボクも同じだけど?」

灰歌は水たまりから上がり、まだ中にいる灰音に手を伸ばす。

「ほら、掴みなよ。」

「……しょうがないわね。」

灰音はふくれ面で灰歌の手を取った。
よいしょと灰歌の手に引き寄せられ、灰音は水から上がった。

「はあ。もう夕方じゃない。チョコ間に合うかしら……?」

灰音は濡れた服をしぼりながら呟く。
洞窟内はチョコが飛び散り、道具は散乱している。

「……気にいらないけど、キミと協力する必要があるみたいだね。」

灰歌の服は自身の体温により、所々凍りついている。
スッと灰歌は手を灰音に向けて伸ばす。

「……そうみたいね。」

灰音も灰歌の手の上に自身の手を重ねる。

「じゃあ、今日中にチョコを完成させるわよ!!」

「「おーっ!!」」

彼らの声が静かな洞窟に響きわたった。






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