「……。」
ふるふると灰音の肩がふるえている。
ぽたぽたとチョコが地面に滴り落ちた。
瞬間、灰音の怒りが爆発した。
「くたばれええええええっ!! このクソガキがあああああっ!!」
女の子とは思えない暴言を吐きながら灰音は、灰歌に掴みかかった。
灰歌は彼女の豹変に驚いたらしく、目を丸くしている。
しかしすぐに不敵な笑みを浮かべた。
「なに? ボクと戦ろうって言うの?」
灰歌の言葉を合図に、戦闘が開始される。
灰音は近くにあった包丁を投げつけた。しかし灰歌はそれを容易く避け、素早く蹴りを入れる。
灰音はその蹴りを手で受け止め、後ろに間合いをとった。
そして体に氷の刃を纏わせ、放つ。
灰歌は防御せずに灰音に向かって走り出した。刃が腕をかする。
勢いに任せ、どんっと灰音に体当たりをした。
が……。
「「あ……。」」
二人が下を見ると、洞窟内にある水たまりの上。水たまりといっても深さはかなりある。
二人は重力に引き寄せられ、水たまりに落ちた。どぼーんと大きな音と共に水しぶきが上がる。