いつものように、散歩をしていた陸奥。
海のそばまで来た時、前から海羅が走ってきたのだ。

「海羅? どうかしたんですか?」

普段陸奥は海羅に対し、敬語を使う。下僕なんだから敬語使え、と言われたかららしい。

「陸奥!」

機嫌がいいらしく、ニコニコと海羅は笑って、陸奥の手をとる。
他人から見れば、仲がよいように見える。
しかし、少なくとも陸奥には、何か企んでるようにしか見えないのだが。

「ねえ。陸奥。今日は何の日かわかる?」

突然の質問に、身構えていた陸奥は驚く。
ニコニコと笑っている海羅を見たら、いや、何をされるかわからないので……。
当然、わからないなんて言えず、

「え……と? 海羅の誕生日?」

と思いついたことを言ってみた。
しかし、それが海羅の機嫌を一気に下落させた。

「……。」

「あ、れ? 違った?」

海羅から笑顔が消えた。つまりそれは、ハズレを意味するわけで。
陸奥の命の危機も意味しているのだ。

「……は ず れ。」

海羅はにこぉと笑った。ゾクッとする陸奥。
これはヤバい、と逃げようとした陸奥だが、海羅の手が自分の手を握りしめて離さない。

「ひぃ!?」

「最悪。こんな大事な日を君は忘れたんだ。最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪最悪。さいっあくだよ!!」

海羅は彼を投げ飛ばした。
そして先ほどの事態になったのだった。







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