ふわっ。
柔らかな草原にリヒトが降り立つ。
目の前には、桃色の始祖がいた。
「おかえり、リヒト。どうだった?」
命はリヒトに駆け寄った。リヒトは微笑む。
「なんとか、な。」
リヒトは疲れているようで、少し顔色が悪いように見える。
命は心配そうに覗きこむ。
「大丈夫? 顔色悪いよ?」
「少し、疲れただけだ。」
リヒトはその場に座り込む。命もそれに合わせて、リヒトの隣に座った。
「リヒト?」
リヒトは俯いていて、顔が見えない。命は必死にリヒトの表情を見ようと彼を見つめる。
すると突然、リヒトが抱きついてきた。
あまりにも突然だったため、命は驚いたが、とっさに姿をかえ青年の姿になる。そうしなければ、命にリヒトの体重は支えきれないからだ。
「どうしたの?」
命は子どもをなだめるかのようにリヒトの頭に手を置く。
リヒトの体は、小刻みに震えているようだ。
「泣いてるの?」
「泣いて、ないっ。」
かすれた声でリヒトは命の問いを否定する。