しばらく進むと、広い場所にでた。
そこには、まばゆい光が空に向かって伸びている。周りには無数の魂たちが浮遊している。
ここは、魂たちが生き物として生まれ変わる場所。

「……この辺りでいいか。」

リヒトは立ち止まり、來宵と目を合わせようとしゃがみこんだ。來宵は不思議そうにリヒトの目を見る。

「とと様? どうしたの?」

リヒトは真剣な顔で、來宵を見つめた。來宵もリヒトの表情に何かを感じ取ったらしく、真剣な顔をした。

「來宵、ひとつだけ頼みたいことがあるんだ。」

「たのみ……?」

「そう、頼み。」

リヒトは微笑んだ。お前にしか出来ないことだ、そう呟いて。

「俺たちが居るこの場所は、冥界という場所なんだ。ここにはたくさんの魂がいる。だが、ここには主……この場所を守る者がいないんだ。だから、俺が守護者を見つけてくるまで、お前にここを守っていて欲しいんだ。」

少し難しくて來宵には理解できなかったが、大好きな父親のためなら……そう考えれば何だって出来るような気がした。
だから、

「わかった。とと様のためだもん。」

にっこり笑って返事をした。
リヒトの違和感には子どもの來宵は気づいていた。むしろ子どもだから、敏感に察することが出来るのだろう。

「そうか。頼もしいな。」

さすが俺の息子、とリヒトは來宵を撫でてやった。







    prevnext


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -