無邪気な笑顔でトコトコと走る來宵。

「……来るなっ!!」

突然リヒトが叫ぶ。それはもちろん、目の前の子どもに向けられた言葉だ。
來宵はその場で足を止めた。彼は目を見開き、驚いているようだった。
そんな來宵にリヒトは怒鳴りつける。

「何故こんなひどい事をした!? 何故たくさんの尊い命を……っ!!」

「父上……。」

アークが見たリヒトの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「なぜ……?」

來宵はリヒトを見て、にっこりと笑った。その笑顔は、子どもらしい無邪気なものでは無く、狂気に満ちた笑顔だった。

「だって、とと様。我をひとりぼっちにした。そいつとばっかり、一緒にいるから。楽しそうにしてるから……。だから」

「だから、俺の気を引こうとこんな事をしたと言うのかっ!?」

最近になってリヒトは、來宵よりもアークといることが多くなっていた。そのため、來宵は彼に嫉妬していたのだ。

リヒトと來宵の赤い目が互いを見つめる。
リヒトの目は悲しみに満ちた赤。
來宵の目は嫉妬に満ちた赤。
同じようにみえるはずの色は、まるで違う色のようだった。

「我は……とと様と一緒にいたい。とと様は我のとと様なんだもん!! 誰にもあげないんだからあっ!!」

來宵は力いっぱい声を張り上げる。
しかし、その言葉はリヒトには届かなかった。







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