それは、世界に時間と空間が確立し、安定し始めた頃だった。
リヒトは不安定な世界を安定させるため、時間を司る者、空間を司る者を生み出した。
しかし、それでも不安定だった世界を支えるために裏の世界が創られた。
裏の世界は破れた世界と呼ばれ、そこの主は王と言われた。
そうして、世界は安定し、そこで暮らす生き物たちは地域ごとに集落を作るようになっていった。
数年が過ぎ、幸せな日々をすごしていたリヒト達に、ある知らせが入った。
とある地域の集落の生き物が、何者かによって全滅したらしいのだ。
「ひどいね。せっかく平和な世界になったのに。」
リヒトと一緒に草原にいた命は悲しい声で呟く。
すると座っていたリヒトが立ち上がった。
「その集落に行ってくる。」
「え、ちょっと待って！」
命の制止も虚しく、リヒトは草原から姿を消した。
「まさか……。あの子が関係してるの？」
命は一人、広い草原で最近見ないあの子どもの姿を浮かべた。