「ねえ。これからどうするの。」
命は今後のことを気にしているようだった。
「これから……か。そうだな。俺は皆と同じように暮らしていこうと思う。だが……」
リヒトは言葉を詰まらせる。
抱き上げられている來宵は不思議そうにリヒトの顔を見た。
「まだ世界は安定しきっていない。どこかが不安定だ。だから、俺はそれを調節するために、仲間を生み出す。まだ、空間も時間も定まらない世界だからな。」
まだ生まれたばかりと言っても過言ではないこの世界には、正確な時間も空間も無い。
ただ生き物が無造作に生きているだけだ。
「じゃあ、僕も手伝うよ。君には、僕が必要でしょ?」
命は再び浮き上がり、リヒトに微笑んだ。
リヒトもまた、命に微笑む。
だが來宵は命にべーっと舌を出した。
「とと様は、我のとと様!!」
ぎゅっとリヒトの服を掴み、頭を押し付ける。
命に優しく微笑むリヒトにちょっとやきもちをやいているようだ。
「來宵ちゃんは、パパが大好きなんだねー。」
命は來宵の頭をくしゃくしゃと撫でた。
なんかいきなり嫌われてるみたいだけど、リヒトの子どもならそんなの気にしない。
「命、俺のそばに居てくれたのがお前で良かった。これからもよろしくな。」
「こちらこそ! リヒトに出会えて良かったよ。」
二人はお互いに信頼を確かめ合った。
これからの世界を見守る友として。
「この世界の未来への希望を。」
リヒトが呟く。
「この世界のこれからの成長を。」
命が続ける
「「俺(僕)たちは願おう。」」
二人は願った。この世界の平和を、希望を。
強い風が吹いた。風が彼らの願いを、全てに届けるように。
「我のとと様なんだもん!!」
來宵は命を睨みつけ、リヒトをぎゅーっと抱きしめた。來宵にとって、世界の平和よりもリヒトの方が大事なようだ。
「俺たちも、いつまでも幸せに暮らせたらいいな。」
リヒトは不機嫌な來宵の頭を撫で、抱きしめた。
しかし、この幸せな時間はいつまでも続かなかったのだった。