その小さな影は子どものようだ。
「とと様ー。」
ばふっとリヒトに抱きついた。
子どもは白い髪に黄色い四本の角をはやしている。
「命、紹介しよう。俺の息子の來宵だ。」
「息子……?」
命は來宵と呼ばれた子どもを見つめる。
命と目があった瞬間、來宵はびくっと体を震わせ、リヒトの後ろに隠れた。
「ふふ、そんなに怖がらなくていい。彼は命。俺の友人だ。」
リヒトは自分の後ろで怯える來宵に優しく話しかける。
「み、こと……? とと様の、大事な人?」
來宵はリヒトに背中を押され、命の前に出た。まだ少し怯えているようだ。
「ふーん。君にそっくりじゃない。」
命は來宵の頬をむにっと掴み、上下に伸ばす。
「い、いやぁ!!」
來宵は命の手を払い、またリヒトの後ろに隠れてしまった。
そうとう人見知りな性格のようだ。
「命。この子はまだ俺以外の生き物を見たことも触れ合ったことも無い。あまりイタズラしないでくれないか? 人嫌いになっては困るからな。」
リヒトは隠れている來宵を抱き上げ、一面の緑を見渡す。
風が優しく三人の髪を撫でていく。
「もうちょっと人見知りしないように出来なかったの? つまんないなあ。」
命は不満そうにリヒトを見る。
大きく見上げなければ見えない彼の顔は、太陽の光によって輝いて見えた。