書きたい所だけ書いてみる8


無我夢中でボールを追いかけていると、キャプテンから休憩の声があがり、その瞬間、部員から様々な声が飛び交う。
そんな中、青峰は体育館の入り口横に近づきそこへ座り込んだ。
外からの風を一人占めしながら、置いてあるタオルとドリンクを持ち上げ、何故だか体育館内をキョロキョロとしだした。
目を凝らして探してみると、目当てのものを見つけたのか青峰は大きな声で名前を呼ぶ。

「おーい!テツ!こっちこっち!」

青峰が探していたものは、今日は違うコートで練習をしていた相棒の黒子だった。
体力がない黒子にとって体力づくりと言う名の練習は大変堪えるのか、いつも以上に披露が感じられる。
青峰に名前を呼ばれたはいいが、黒子は声を発することすらも辛いのか目で青峰を捉え、フラフラと青峰に近づき始めた。

「大丈夫かよ。まだ始まったばっかだぞ。」
「……なんとか、生き抜いてみせます。」

大きな声と小さく掠れた声で会話をしながら、黒子はやっと辿り着いた。
近づくにつれ黒子の息遣いが荒いことが気になり、その場で崩れ落ちそうになっている黒子の腕を引き、青峰は自分の足の間に座らせた。

「マジで大丈夫かよ。ポカリあるぞ。」
「ありがとうございます。それよりも暑いです…。」
「もたれた方が楽だろ?我慢しろ。」

今まで動き回っていたのだから暑いのは仕方ないが、今は楽な格好をした方がいいと思い、背中を預けるように促す。
黒子はしぶしぶといった感じで青峰に背中を預け、ドリンクを飲み始める。
その間に青峰は黒子の汗を拭ってやり、軽くタオルで仰いでやる。

「涼しいな〜。これから練習が始まる前に場所取りしとこうぜ。」
「そうですね。少しでも熱を冷ますためにもいいかもしれませんね。」

黒子はドリンクを飲み終え、ホッと息を吐出したその時、短く切りそろえられている黒子の髪の毛から汗がたれ、青峰のシャツにしみ込んだ。
青峰は思わず自分のシャツを引っ張り、黒子の汗がしみ込んだ箇所を見つめながら違和感に気づいた。

「俺ってさ、自分ではケッペキショーかと思ってたんだけどよ、実は違うのかもしんねー。」
「急にどうしたんですか?」

青峰は首を傾げたままシャツを見つめている。
確かに青峰は自分から人に触れようとしないところがあるが、潔癖とは言えないのではないだろうか。と、黒子はそう思った。

「潔癖症の人は今の状況は耐えられないと思いますけど。」
「だよな〜。お前の汗に触れても何も思わないし。勘違いか?」
「どうでしょう。ちょっと黄瀬君と触れ合ってみますか?」
「はぁ!?ぜってーヤダ!キモッ!想像しなくてもキョヒハンノーがでるわっ!!」

大変酷い言われようだとチームメイトに同情する。
後でこっそり頭でも撫でてやろうと黒子は思った。

「そういえば、少し前の話ですけど、試合中に黄瀬君と肩を組んでませんでしたか?」
「ああ〜あん時はマジでテンション上がってたからだろ。じゃないと絶対しないな。」
「君は難しい人ですね…。」

だとしたら何が大丈夫なのか、まったくわからないと黒子が一人考えていると、体に長い四肢が絡みついてきた。
上体を起こしていた黒子の背に、大きな身体が覆いかぶさり体重をかけてくる。

「ちょっと重いです。」
「もういいから構えよ!」
「話を振ってきたのは君ですよ?」
「いいんだよ。お前に触れるんだから何の問題もねーよ!」
「ちょっと痛重いんですけど…。」

青峰は絡めていた四肢に力を入れ、更に強く黒子の身体に絡ませながら上体を黒子側に傾け全身がピッタリと引っ付くようにした。

「お前に触れれば他なんてどーでもいいんだよ。」
「…そうですか。」
「んだよ。嬉しいくせに。」
「君が嬉しそうにするのは嬉しいですが、自分より身体が大きい人にこんなことされても嬉しくありません。寧ろ不愉快です。」
「んだよ。素直じゃねーなー。」

「お前らさ……もう練習始めてもいいかな?てか、リア充(青峰)はグランド30周な!」




その会話で引っ付いてねーってお前らなんなんだよ…。

fin

無自覚な青黒でした。
普通に休憩中でも練習中でもイチャイチャしてそうだよね。って話です。
王道的でこういうのが大好きなだけで書いたのですが…。
お目汚しすみません…。




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