書きたい所だけ書いてみる4
「あまり近づかないでください」
「は!?」
突然、黒子に変な顔をしながら言われた。
特に機嫌を損ねてしまうようなことはしていない…はずだ。
「何で急にそんなこというんだよ!俺なにもしてねぇだろ?」
「君が何もしていないのに問題が発生したんです。」
「なんだよ。その問題って」
真剣な顔で言われ、顔をジッと見つめてくる。
黒子に真正面から見つめられることは慣れてはいるが、こうも真剣な顔をされると後ずさる。
「先週、黄瀬君に会った時に言われたんです。」
「何をだよ。てか2人で会ってんじゃねぇよ!」
「まぁ、それは置いといて。実は、黄瀬君に…『黒子っちから火神っちのニオイがするっス』って言われたんです…」
「……は?」
これこそトウトツってやつだ。しかも黄瀬のものまねつきで。
バスケをして汗をかいたままじゃれ合うことはあるが、ニオイがうつるなんてことはないと思うんだが。
「もしかして俺って実はチョー臭かったりするのか?」
「いえ。僕は特に何も感じませんが」
「そりゃよかった。なら何でだ?」
もしかして実は臭かったりしたのかと思ったが、そうでもない。ということは何だ?
それ以上にニオイがうつる方法…方法……。
「もしかして……んなバカな」
「なんですか?」
「いや……あ〜。もしかして、あの日の後に黄瀬に会ったのか?」
「あの日とは?」
ほんとにコイツは鈍感だと思う。
いや、俺が思ってるようなことじゃないかも知れないが…それしかないと思う。
その日はいつもより調子に乗ったしな…。
「……だから…泊まりの日だよ」
「………」
みなまで言わなくてもこれで分かっただろう。
俺だって相当恥ずかしいんだからな!
「…そう、ですね…。確かにあの日の後に会いました…。」
「……」
「……」
沈黙。
この沈黙は今までで一番気まずい気がする。
「…まぁ、これからは気をつけるようにするわ」
「いや、別に気を使ってもらわなくても…僕は別に……」
「あ?なんだよ。最後まで言えって!」
「君は最低な鈍感です!」
「お前に言われたくねぇよ!」
黒子が最後まで言い切らない時は何かある。
まだ付き合いは短いが、一番傍に居たんだ。それくらい分かる。
無理にでも先へ促してみるか。
「黒子」
「……僕は、君のニオイは嫌いじゃありません……」
「……ッ!」
名前を呼ぶと珍しく顔を赤くして呟いた。
その言葉は確実に俺の耳に届いて、俺も思わず赤面する。
ほんと俺たちって、バカすぎる。
「俺も、お前のにおいは嫌いじゃねぇよ」
fin
「今思ったんですが、黄瀬君が言っていたニオイって体臭からという意味ではなく、僕の服から火神君のニオイがした。ということじゃないでしょうか?」
「…いや、それもそれで問題があるだろ……」
「……そうですね…」
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