書きたい所だけ書いてみる13



誠凛高校 バスケ部 部室にて


練習も終わり、部員は流れてくる汗を適当に拭いながら部室に入る。
入った途端、豪快にTシャツを脱ぎ捨て下敷きで風を起こしながら着替えにとりかかる。
部室の中に扇風機があれば団子になりながら冷をとるだろう。
そんな中、火神はいつも通りタンクトップを脱ぎ、隣にいる黒子に視線を送りながら適当に汗を拭っていた。
その時、腕を叩かれ思わずビクリとオーバーに反応してしまい、叩かれた腕の方を見ると、キャプテンである日向が呆れたような顔で火神を見ていた。
今日は特に問題という問題は起こしていないはずだと思い、日向に向き直るといきなり胸にグーパンを食らわされた。

「…っ!何すんだよ…ですか!!」
「うっせーよダアホ!リア充は死ね!!」
「はぁ!?どういう意味だよ…ですか!」
「なんでこんなバカがモテルのか謎だな…。」
「は?」

日向は呆れながら火神を見上げ、溜息をついた。
頭の中はダメだとしても、見た目だけでどうでもなるとまでは言わない。
確かに性格も仲間思いで熱い奴ではある。それに、10代にしては逞しい身体をしているから女は食いついてくるだろう。そう思うと日向は悔しくもあり当然かとも思う。

「だがな!顔がよけりゃーモテルなんて世界は認めねーからな!」
「何言ってんだ…すか?」
「火神…お前の背中にある傷に日向はイライラしてんだよ。」
「背中に傷?」

背中に傷が出来るようなことは一切していないが、試しに背中に手当てても何の感触もない。
首を傾げながら触れる範囲を更に触るがなにもない。
何もないことを告げようとした瞬間、肩甲骨の部分を強く押され軽い痛みが走った。

「痛ッテ!」
「伊月が言ってんのはここだよ!なに男の勲章見せびらかしてんだコノヤロー!!」
日向にグリグリと容赦なく傷を刺激され、そういえば昨日の風呂の時も痛みが走ったなと思い出した。
「部活があるから程々に」が掟の夜は、挿入なしの素股や2人同時に手で抜いたりするから身体に過度の負担はない。
だが、セックスの時は必ず背中に手を回させ、掴まるようにしているから多分その時につけられたものだ。

「何思い出し笑いしてんだ!マジでシメルぞっ!!」
「痛テッ!」
「日向もっとやれ!少しでもイケメンは滅ぶべきだ!」
「火神なんてEDになって捨てられろ!」

今までの会話を聞いていた部員たちは思い思いの言葉をぶつけてくる。
何がそんなに悪いことなのか分からない火神は、滴る汗をそのままにTシャツを乱暴に着て、着替え終わった黒子の手を引いてその場から逃げ出した。

慌てて部室を飛び出してきたせいもあり汗が次々と流れてくる。
振り返ると息の荒い黒子と目が合い、なぜだか照れくさくなり目を逸らしたその時、握っていた黒子の手に力が入り少し腕を引かれる。

「僕のせいで迷惑をかけてしまいましたね…。すみません。」
「なんでお前が謝んだよ!俺がそうしろって言ったんだからいいんだよ。」
「でも…。」
「マジでいいんだって。キャプテンも言ってただろ?背中の傷は男のクンショーだって。それに、入れる時はお前に痛い目ばっかみせてんだからオアイコだ。」

火神は照れたように笑いながら、黒子の手を握り締めた。
確かに慣れない性行為で黒子に痛みを与えているのは事実で、それが申し訳なく思う部分もあるが、本心はそれだけじゃない。

(お前に抱きしめられるのが好きだって言ったらお前はどんな顔すっかな?)



fin




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