書きたい所だけ書いてみる11



火神宅にて


小さな机の上に皿が積み重なっているが、そこには食べカスすらない。
全ては食べ盛りの少年たちの腹の中におさまっている。

「今日もごちそうさまでした。」
「おお。お前はマジでうまそうな顔して食うから作りがいあるけど、もうちょっと食えよ。」
「これでも多く食べた方です。見てください。この胃の張りようを。」

黒子は誇らしげにシャツの上から張れている腹部を撫でた。
火神もその腹部に手を添え、軽く撫でながら笑った。

「お〜なんか妊娠してるみてーだな。」
「まぁ、確かに火神君の子供ではありますね。」
「ブッ!」

真顔で呟かれ、火神は思わず噴出し、思いっきりむせた。
確かに黒子と火神はそういった行為もすでにしているし、いつ妊娠してもおかしくないという状況だが、残念ながら2人は男同士である。
黒子は膨らんだ腹部を撫でながら「早く大きくなるといいですね。」と優しい声音で呟いた。

「お前さ、誰の前でもそういうこと言うわけ?」
「そういうとはどういうことですか?」
「いや、確実にカンチガイするだろ。フツー。」
「勘違いも何も僕たちは男同士ですよ。残念ながら。」

その残念はとっくの昔に感じているもので、こればっかりは無理だと既に諦めている。
だから、ほんの少し軽い冗談を言っただけだ。と黒子は呟いた。
未だに腹部を撫でている黒子を複雑な気持ちで見つめた後、火神は後片付けをするため立ち上がった。

「僕も手伝います。」
「お前に洗いもん任せたら水まみれになるからいいって。それにお前は客だしな。」
「2人でやった方が早く片付くじゃないですか。お皿を拭くくらいなら僕にでもできます。」
「……んじゃ頼むわ。奥さん。」
「はい。」

黒子は目をキラキラさせながら、拳をギュッと握る。
その表情が余りにも幼く見え、火神は思わず顔を緩めてしまった。
2人仲良く食器を炊事場に運び、この後の時間を早くつくるために火神はせっせと食器を洗い出した。
黒子は皿洗いをしている火神を盗み見て、先ほどの会話で何点か間違っていることに気がついた。
その間違いに気がつき、頭の中で修正していると、思わず納得してしまう内容に変更となった。

「さっきの会話の訂正なんですが、僕が奥さんでなく、火神君が奥さんでしたね。」
「はぁあ?!」
「事実ですよ。家事は一般の女性並みにできるし、それに火神君からは母性的なものを感じます。」
「いやいや!家事ができるのは一人暮らしだからだっつーの。てか母性的ってなんだよ。」

「ふむ。違いましたか」と一人考え出す黒子を横目に最後の皿を洗い終えると、黒子が急に顔を上げ火神を見つめた。
そして、フンワリと笑い決定打を打つ。

「ちゃんと僕が養ってあげますからね。奥さん。」
「………っ」

目をキラキラと輝かせ、未来について語りだす黒子を見つめ、まぁそれもありかもしれないと火神も少し思った。

「あ、そうだ。妊娠は火神君がしてくださいね。」

最後の爆弾は別にいらなかっただろう。




fin

なんやわかりませんが、火黒(火)でした。
ただイチャイチャしてる2人が書きたかっただけ…。



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