書きたい所だけ書いてみる9


昼休みも終わり、5時間目の本鈴が鳴り出すだろう時間に珍しく携帯が震えた。
ポケットの中にある携帯を取り出し、確認してみると「赤司君」とあり更に驚いた。
こんなギリギリの時間にメールをしてくるなんて大事かと思い、メールを開くと「テツヤ 今すぐ部室に来て。」とだけ書かれていた。
用件が書かれていないのはいつも通りだが、この時間に「今すぐ」ということは授業をサボれと堂々と言っているようなものだ。
いつもなら「授業くらいちゃんと出るように。」というのだが、今日はなんとなく違うようだ。
もしかしたら、時々訪れる『あれ』なのかもしれない。
そう思うと、授業など受けている場合ではないと思い、急いで部室に向かうことにした。

教師に声を掛けられることなく部室に辿り着くと、明かりは一切点けられていなかった。
ドアノブを軽くひねると簡単にドアが開き、中を覗いてみると部室の奥で一つの『赤』を見つけ、思わず名前を呼んでしまった。
その瞬間、鋭い目つきで彼は顔をあげ、また一瞬にして表情を和らげた。

「……テツヤか。入っておいで。」

そう言った彼の声は掠れていて、感情がむき出しになっているように感じた。
当たってほしくない分類のものが当たってしまい肩を落とすが、もうこれは仕方がない。そう思い扉をそっと閉め、部室の奥にいる彼に近づくと、手首を掴まれその場に座り込んだ。
いつものように背中に腕が回され、胸に耳をつけられると、目の前が『赤』一色になる。
この行為は彼曰く「テツヤの心音は心地良くて、すぐに楽になる」そうだ。
彼は無言のまま胸に耳を当て、ジッと僕の心音を聞いている。
いつもは誰もが恐れる暴君だが、彼も彼なりに我慢を重ねている。
両親や教師からの過度なプレッシャーや、自分を大きく強く見せようとして、必要以上に精神を磨り減らしたりする。
だが、こんなに努力を積み重ねても、周りはもっともっとといい、彼のことが気に入らない者たちは非難を浴びせる。
彼は努力に努力を重ねる直向な少年だ。ただの少年だ。

「赤司君。」
「もう少し……。」

縋り付くように腕の力を強め、更に強く耳を押し当ててくる。
僕も遠慮せず目の前にある『赤』に触れ、ゆっくり撫でる。
ゆっくりゆっくり時間を忘れ感触を楽しんでいると、更に腕の力が強まった。

「何してるの?」
「君の頭を撫でてます。」
「…僕にそんなことするのはテツヤだけだよ。」
「嫌でしたか?」
「ううん。すごく嬉しいよ。嬉しい……。」

最後に囁いた声に掠れはなく、いつもの様に力強いもので、とても温かい声だった。




fin

初の赤黒です!
なのに赤司くんはちょっと病んでる。とか!
黒子はあれだよね。キセキのオカンだよね。
オカンで最強とかマジで堪らん!!




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