提灯お化けと悪戯っ子(豪炎寺)


私は手に持った、
大きな水鉄砲を肩に、構えた

「……っ、よし!!」

暑い夏の夜の
真っ暗な空の下、

そこで、茂みに隠れて水鉄砲片手に、
虚空を睨み付けている私は完全な変態だろう
だけど私はどうしても
豪炎寺君の頭を水鉄砲で撃ちたかった

だから、こう怖さにも打ち勝って
変態じみた行動に走っているのだ






今日は
イナズマジャパンのメンバーを集めてのキャンプだった

みんな、久々に会えて、はしゃいでて、

肝試しをしようという提案に、私は駄目元で円堂君に相談してみた


『豪炎寺君の髪は濡らしたら
どうなるのかを知りたい』と

それに円堂君は笑顔で
乗ってくれて、
……そしてまあ今に至る訳です






円堂君はついさっき秋ちゃんを連れて
私に目配せしながら進んでいって、

そろそろ豪炎寺君が来る筈で、私はもう一度水鉄砲を構えた

じゃり、と土を踏む足音

顔を上げると、懐中電灯片手に
歩いている豪炎寺君の姿が見えた


緊張と興奮で、高まる鼓動

私は緩みそうになる頬を叱咤して
豪炎寺君の頭に向かって
水鉄砲の引き金を引いた



「…っ!?」



自分の頭にかかった大量の水に
目を大きくする豪炎寺君

その髪の毛は
水に濡れてへにゃりと垂れ下がって、
普段見れないようなその姿に思わず見とれてしまった

正直、私は豪炎寺君の頭は
濡らしてもそのままになるか成長するかとしか思ってなかったから

ま、まさかあんな普通に……


そうびっくりして
呆けていた私の視界に映ったのは、

ゆっくりキョロキョロしながらこちらへ歩いてくる豪炎寺君の姿だった





(…やばい、捕まったら、終わるな)




一気に青ざめた私は、
そこからダッシュで走って逃げ出して




「…あ、れ、ここどこだろう」

走り疲れて
我にかえった時には完全に道に迷っていた




元々、暗い場所が得意じゃない私

一人で止まってしまうと
さっきは好奇心で消えていた恐怖がゆっくり蘇ってきて


(…どうしよう、)


立ちあがって、パニックながらに歩き出そうとした時、

目の前に、揺れる光が見えた


(火の玉…!?)


走って逃げようにも恐怖で凍りついてしまった脚は動こうとはしなくて、

目の前までそれが近づいてきて、恐怖に打ち勝った身の危険によって
私は弾かれた様に走り出した


「いっ、ひやあああああっ!!!」



だけど、そんな私の逃走劇は
虚しいもので

・・
何かに腕を捕まれて引っ張られて捕まってしまった



(最悪だ、豪炎寺君に悪戯した罰なんだ)



「やっぱり名字か」

だけど私の恐怖とは裏腹に、
背後から聞こえてきたのは
よく知った声で




「豪炎寺、く……」

豪炎寺君の声だった






「ふ、ふえええん!!
ごめんね豪炎寺くんー!!」


恐怖と安心、その他もろもろの感情で
私は思わず泣きながら豪炎寺君に抱きついてしまって


「…何やってるんだ」


呆れたようにフッと笑った豪炎寺君は私の頭ごと抱き締めてくれた

思わず私は涙ながらに
ドキドキしてしまった




提灯おけと
悪戯っこ









「で、でも
よく私だってわかったね」

「こんな事するのは
名字しかいないだろ」

「そっか、へへ、ありがとう」

「いつも見てるからな」

「?うん、ありがとう!」

「(…わかってないな)」










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起承転結無しのグダグダで
すみませんでした←

企画サイト「彗星」様に提出しました(^o^)




2011.08.20



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