曇天の空





 ちかっ、と。


 目の前に小さな火花が散る感覚。なんで、女はこんなにあたたかいのだろうか。服なんてとうに脱ぎ散らかして、散々裸でいたっていうのに。冷えるどころか、熱は上がっていくばかりだ。


「しる、シルヴァ……目、目、見せて……ッん」

「……」


 いつもしている真っ黒なサングラスなら、部屋に着いたと同時に外した。だが、漆黒とも灰色とも言い難いこの複雑な色の長めの髪に遮られ、瞳は見えないだろう。そりゃそうだ。見られるのが嫌で、そうしているのだから。

 縋るように手を伸ばしてきたアリーシャのそれを掴み、ベッドに縫い付けた。そうして何も言えなくなるほど深くくちづけをし、手加減なく腰の抽出を繰り返す。はは、まだ駄目だとか言ってたくせに、コレだもんな。


「……お前のナカ、ぐっちゃぐちゃ」

「――ッ!! や……!」

「最っ高……」


 両手を片手で縫い付けたまま、決して大きくはない胸を下から揉むと、俺自身をきゅうと締めつけてきた。たったこれだけでこんなに感じて、まともに仕事ができているのか、こいつは。

 頂きにある飾りを強く摘んで舌で転がしたりとするたびに大きく胸で息をし、下半身がぎゅっとしまる。ああ、本当に気持ちいい。


 絶えず嬌声を上げ続ける唇も、先ほどまで冷たい眼差しをしていた赤錆色の瞳も濡れきってまっすぐにこちらを見ていない。彼女の限界は、もうすぐそこまで迫ってきているのだろう。


 だったら、俺もそれに付き合わせて貰おう。

 細い腰を掴み、何度か大きく肌をぶつければ、甘い嬌声は叫びに変わってぼろぼろと涙を零して身体を捩った。……今更、離すわけねぇだろうが。


「んん、は、あっ、ッ――!」

 
 ガリリ、と背中に爪をたて、アリーシャは白い喉を晒して仰け反った。その痛みにさえ快感を覚えてしまった自分に苦い笑みを浮かべ、最後にゆるりと最奥を突いて細くあたたかな身体を抱き寄せた。







《9》

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(しおり)

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