SpecialShortStory
ルース新聞社の調査日記 - 4




「はぁっはぁっ。
何で、逃げるんだい……。聞き込みの、チャンスだったのに……」

「編、集長だって、逃げたじゃ、ないですか……」

「まぁいい、中央広場に戻るよ。
絶対、一緒に踊ってやるからね」



部下は、編集長のその言葉に深いため息をつくしかなかった。







しばらくおとなしく呑んでいると、曲調が変わった。




「編集長っ!来ましたよ!」


なんだかんだ言いつつ、結局女編集長のいいなりの部下。


「ここらで、大人の魅力ってやつ、見せてやるかね」


バッチリ、化粧直しをした編集長はざわざわと騒ぐ観衆の元へと乗り込んだ。


そこで見たのは。




「――――?!

誰だい、あの小娘っ?!」


ブラックの左側には、うっとりする程綺麗な少女。
透き通る金の髪が揺れている。



「〜〜〜!!
どこの姫君だか知らないけど、あたしのダーリン取るとはいい度胸だ……!!」


ずかずかと、二人の目の前に立つ。



「……なんスか?」

ぶっきらぼうなブラックの言葉にも踊る心を必死に押さえ付け、髪を掻き上げる。


「その小娘で不満ならあたしが踊ってやるよ? どうだい?」

「……悪いけどオレ、サラ以外と踊る気、全くないから。他当たってくんねぇ?」




・・・・・ちーん。



と、いう効果音が似合いそうな女編集長を置いてブラックは愛おしそうに少女を見つめ、舞い始めた。
金髪の少女――サラは女編集長を気にしていたが、本人はそれどころではなく。
わなわなと羞恥に震える拳を握り絞めた。


「あ、あの……編集長?」


恐る恐る近付いた部下に、目線で答えると、怯えながらも部下は口を開いた。


「あの子……レイガス皇帝ルカ様の一人娘で……第三部隊の隊長らしいです。しかも、ブラック隊長が惚れてるのは周知の事実だそうで……」



・・・・・ちーん。




動かなくなった女編集長を運ぶのは大変だったそうです。





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