SpecialShortStory
ルース新聞社の調査日記 - 2
調査1〜聞き込み〜
好きな食べ物⇒肉・甘い物
(……いいねぇ。可愛いねぇ)
趣味⇒鍛練
(だからあんなにいい身体してんだね……)
恋人⇒いない
(あたしの為に、空けてんだろ〜…)
「編…長……」
(女記者と軍人の秘密の恋…。いいねぇっ!!)
「編集長ってば!!」
「……なんだい、邪魔すんじゃないよ」
「なんの邪魔なんですか……。と、あれあれっ!!」
なんだい、と言いつつ見た部下の指の向こう。
「――ブラック・ストライグ」
背筋をぴんと張り、隣を歩く背の高い少年と仲よさ気に話す、揺れる漆黒の髪。
漆黒の瞳は、強い意志を持っているかのように輝いている。
(実物のがいい男!!
絶対、手に入れてやるっ!!)
「ほらっ!近付くよっ!!」
女編集長は部下の手をぐいぐい引っ張った。
……正確には、その手にある映写機を。
「―――あぁっ?!」
……ブラックの周りには、人だかり。
それも、若い女の。
きゃあきゃあと黄色い声援を送っている。
「……んだいあの小娘達!! ダーリンに近付けないじゃないか!」
(……いつ、隊長は編集長のダーリンになったんだろう)
部下がそんな事を思っているなど、微塵にも考えていない女編集長は人だかりを掻き分ける。
「ちょっと! 割り込まないでよっ!!」
「なによこのおばさん!!」
「なんだってぇ?!」
女同士の激しいつかみ合いが始まり、辺りは騒然となった。
ルース新聞社の者達は体中に引っ掻き傷を作られながらも必死に自分達の上司を押さえ付け、あやまりながらもそそくさとその場から逃げ去った。
――――
ひゅうっ、と独特の音が呆然とするブラックの耳元で鳴った。
「……なんだよ、テッド」
「いや〜、さすがは我らがブラック隊長。おモテになられる。
女同士の取っ組み合いが見れるとは思わなかったよ」
「知るかよそんな事……」
うっとおしい視線をごまかす為か、ブラックは軽く舌打ちをしてから下街での軍務に取り掛かった。
―――追加項目⇒第二部隊隊長ブラックは、女にモテる。
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