SpecialShortStory
Reached feelings - 4
なんで、あの時。
レイアにフラれたのかわからなかった。
でも。
今なら、わかる気がする。
レイアは、俺がリサと話してる時に感じとったんだろう。
リサが……俺の中で、大切な存在なんだと。
たとえそれが、恋愛関係でなくとも。
レイアと過ごすのは心地がよかったけれど。
それはきっと上辺でしか付き合っていなかったからだ。本心で向き合ったことなんか、一度だって無かった。
レイアにとっては、失礼な話だよな。
……本気で俺に向き合ってくれてたのに。
本気で……俺の事を想ってくれてたのに。
傷付けただけだったのに、別れの朝、レイアは眩しいくらいの笑顔でありがとう、って。言ってくれた。
短い。……とても、短い期間しか一緒にいなかったけれど。
そのおかげで今、大切なモノを見つけられたよ。
随分、遠回りしたけど。
「リ〜サ、こんな所で寝たら風邪引くぞ? 起きろ〜」
この、幸せそうな笑顔を浮かべて寝る女が傍にいたらそれで、いい。
カラン。
あの時、苦いと思った酒。今では随分呑めるようになったよ。
「レイア……ありがとう。…幸せに……」
彼女に届くといい。この、切なる願いが。
そしていつの日かまた会えたなら、笑顔でありがとう、って言うんだ。
「リサ……今まで傷付けたぶん、幸せにするからな……。
……好き、だよ」
穏やかな寝息をたてる彼女の表情が、さらにやわらかく微笑んだ気がした。
―――――<完>―――――
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