SpecialShortStory
Reached feelings - 4





なんで、あの時。


レイアにフラれたのかわからなかった。





でも。

今なら、わかる気がする。
レイアは、俺がリサと話してる時に感じとったんだろう。

リサが……俺の中で、大切な存在なんだと。
たとえそれが、恋愛関係でなくとも。






レイアと過ごすのは心地がよかったけれど。
それはきっと上辺でしか付き合っていなかったからだ。本心で向き合ったことなんか、一度だって無かった。


レイアにとっては、失礼な話だよな。


……本気で俺に向き合ってくれてたのに。
本気で……俺の事を想ってくれてたのに。



傷付けただけだったのに、別れの朝、レイアは眩しいくらいの笑顔でありがとう、って。言ってくれた。




短い。……とても、短い期間しか一緒にいなかったけれど。


そのおかげで今、大切なモノを見つけられたよ。

随分、遠回りしたけど。




「リ〜サ、こんな所で寝たら風邪引くぞ? 起きろ〜」


この、幸せそうな笑顔を浮かべて寝る女が傍にいたらそれで、いい。




カラン。


あの時、苦いと思った酒。今では随分呑めるようになったよ。




「レイア……ありがとう。…幸せに……」




 彼女に届くといい。この、切なる願いが。


 そしていつの日かまた会えたなら、笑顔でありがとう、って言うんだ。

 




「リサ……今まで傷付けたぶん、幸せにするからな……。
……好き、だよ」





穏やかな寝息をたてる彼女の表情が、さらにやわらかく微笑んだ気がした。





―――――<完>―――――






- 22 -


[*前] | [次#]
しおりを挟む




【戻】
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -