SpecialShortStory
Reached feelings - 3
その日から、毎晩のように夜中、レイアの元へと走った。
失った恋人。
叶わない初恋の人。
互いに、叶わない恋の相手の身代わりにしているのはわかってたけれど。
彼女は俺よりも十も歳が上だけど。
それでも、レイアの傍は居心地がよかった。
あの日、までは。
「何、やってんのアンタ。こんな所で。最近学校来ないから見に来たら……」
「学校には行ってるだろ。
……午後からだけど。リサこそ何でこんなとこにいるんだよ」
レイアの酒場に着いてすぐにリサに捕まった。
いつも強気なリサは、わざと冷たく放った俺の言葉に息をつまらせている。
「………」
「………」
しばらく続く、無言の睨み合い。
そこでまた運悪くレイアの登場。
リサの存在に目を見開いてびっくりしてる。
にこやかに笑ってたリサだけど、レイアと付き合ってると言った瞬間、態度が急変していろいろと吐き捨てて走り去っていきやがった。
……誰が尻拭いするんだよ……って、俺か。
「ごめんレイア。あいつ頭固くてさ…………レイア?」
「あ、ううん、なんでもないわ。気にしないで……」
この、一週間後。
俺は、レイアにフラれた。
巡業に出るから、と。
所詮、身代わりは身代わりのままなんだ、と……。
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